うつ病

うつ病の原因は１つではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合って引き起こされていると考えられています。完全には解明されていませんが、精神的ストレスや身体的ストレスが関与しているとされています。

さらに、うつ病は必ずしもネガティブな出来事だけがきっかけとなり、引き起こされるわけではありません。就職や昇進、結婚など、一般的には喜ばしい出来事がきっかけとなる場合もあります。ライフイベントの発生やライフステージの変化、環境の変化などもきっかけとなります。加えて、妊娠や出産、男女ともに更年期といった生理的な変化も、ホルモンバランスに影響を与え、うつ病を引き起こす原因となることがわかっています。

うつ病の治療では、患者さんのつらい気持ちを理解し、寄り添いながら、症状を丁寧に確認することが重要です。そして、薬物療法や環境調整、精神療法（心理療法、カウンセリング）を中心に治療を進めていきます。

薬物療法では、患者さん一人ひとりの症状や状態を慎重に診ながら、身体に負担の少ない薬剤を選択し、少量からの適切な処方による治療を行っていきます。うつ病では、脳内の神経伝達物質（セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど）のバランスが崩れ、空回りしているような状態になります。そこで、抗うつ薬を用いて、神経伝達物質のバランスを整え、働きを補助し正常化させていきます。
抗うつ薬の効果が現れるまでには、ある程度の時間が必要です。また、症状の再燃やうつ病の再発予防のためにも、症状が改善したらすぐに薬物療法を終了させるのではなく、終了の時期について丁寧に見定めることが重要です。
また、抗うつ薬の副作用としては、特に治療の初期に吐き気や眠気が現れることが挙げられます。しかし、副作用は数日～数週間以内に減少し、最終的には大幅に軽減されることが一般的です。
薬物療法の進め方や副作用については、最適な付き合い方を医師と相談・検討していくことが望まれます。

環境調整では、治療の初期において、医師との相談の上、職場からの理解を得て、必要に応じて有給休暇の取得や休職について検討することが挙げられます。復職に向けた段階では、復職支援プログラムの活用も視野に置くことができるでしょう。

また、薬物療法による治療効果の促進や、症状の再燃およびうつ病の再発予防のためにも、医師との相談の上で、適切なカウンセリングを受けることが推奨されます。

専門医との相談の上、適切な治療を受けることで、うつ病は改善可能な病気であり、回復への道筋を進んでいくことができます。