漠然とした不安に襲われるのはなぜ?解消方法をわかりやすく解説
働き方や生き方が多様化した現代において、漠然とした不安を抱える人は多いかもしれません。なかには対処法がわからず、自分を責め続け、思い悩む人もいるでしょう。
そこで本記事では、漠然とした不安の正体や対処法について解説します。不安が続いて思い悩む人や自己嫌悪に陥っている人、対処法がわからない人はぜひ参考にしてみてください。
漠然とした不安に襲われるのはなぜ?
どんな人でも悩みや不安は生じます。大切なのは、不安は誰でにも起こり得るものであることを認識し、自己嫌悪に陥らないことです。
不安と向き合うには、不安の原因を探る必要があります。なぜなら、その原因に対して改善するための行動を起こさなければ、不安が解消されることはないからです。
なぜ自分は不安に襲われるのか。このことに真剣に向き合い、不安の原因となる課題を解決するために行動することが、不安に襲われたときの唯一の対処法になります。
漠然とした不安の正体
振り払っても消えない漠然とした不安の主な正体は、以下の通りです。
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仕事やキャリアに対する不安
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結婚や出産・子育てなどのライフイベントに対する不安
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将来に対する不安
今後、仕事をうまくやれるだろうかと不安に思う人は多いです。また、自分が進むキャリアの方向性に思い悩む場合もあるでしょう。
結婚や出産・子育てなどのライフイベントも同様です。未婚の人は、結婚している周りの友人と比べて焦る気持ちから不安が生じることもあります。妊活で苦労する人もいますし、子どもを産んだ後も子育ての方針について悩むケースもあり得ます。
また、自分の老後について漠然とした不安を抱く人もいるかもしれません。健康面や金銭面で不自由ない暮らしができるか、心配する人も多いでしょう。
仕事やキャリアに対する不安
年功序列や終身雇用がなくなりつつある昨今、仕事やキャリアに対して不安を感じる人は多いです。「出世できるだろうか」「このまま今の仕事を続けていってよいのだろうか」と、漠然とした不安を感じる人もいるかもしれません。
働き方が多様化している現代において、仕事やキャリアの進め方は悩みの種の1つになっています。
結婚や出産・子育てなどのライフイベントに対する不安
結婚や出産・子育てなどのライフイベントに対し、漠然とした不安はつきものです。
同世代の友人が結婚していくなか、自分だけ結婚していないことに焦りを感じ、不安を感じる人もいるでしょう。また、子育てについても、「ちゃんと育てられるだろうか」「どういう家族設計にしたらよいだろうか」といった悩みは尽きません。、
ライフイベントに伴って考えるべきことは山ほどあり、その一つ一つが不安の種を生み出しています。
将来に対する不安
将来に対する不安は、誰しもが持つものです。
「健康的な毎日が送れるだろうか」「金銭的に不自由ない生活ができるだろうか」「住む場所に困らないだろうか」など、特に自分の老後について不安を抱える人は多いです。健康面や金銭面など、あらゆる角度からの心配事が増え、また、そのときが訪れなければわからないこともあるため、生じた不安は膨らむいっぽうとなります。
漠然とした不安を抱えやすい人の特徴
漠然とした不安を抱えやすい人には特徴があります。主な特徴は、以下の通りです。
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マイナス思考な人
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真面目で完璧主義な人
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自分に自信がない人
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人にどう思われているか気になる人
漠然とした不安を抱えやすい人は、自己肯定感が低く、自分に自信がない傾向があります。根本的にネガティブ思考の場合が多いため、他人の評価が気になり、不安にかられるケースが多いです。また、完璧主義な人にも当てはまるケースがあり、現実とのギャップに苦しんで不安を抱え続ける場合もあるでしょう。
マイナス思考な人
マイナス思考の人は、すべてのことをネガティブに捉える傾向があります。将来を悲観的に考え、悪い方向に考える癖があるのです。
たとえば、人間関係において、マイナス思考の人は他人の言動を気にしやすいといった特徴がみられます。「自分の言動が相手によく思われていないのではないか」「自分は相手から嫌われているのではないか」と相手の顔色をうかがいがちです。
その結果、自己嫌悪に陥り、漠然とした不安を抱え続けてしまいます。
真面目で完璧主義な人
真面目で完璧主義な人は、漠然とした不安を抱えやすいです。
たとえば、「4LDKの家に住みたい」「高級な食べ物が食べたい」「高層マンションに住みたい」など、自分の理想をはっきり思い描いている分、その水準が高ければ高いほど現実とのギャップを感じて自己嫌悪に陥ります。
理想を実現するのは簡単なことではありませんが、それが叶わない限り、漠然とした不安を抱え続けることになってしまいます。
自分に自信がない人
自分に自信がない人は、今までに成功体験がない場合が多いです。そのため、自分は失敗ばかりの人生だと思うようになり、挑戦することが怖くなってしまいます。
また、実際は成功体験を積み重ねている場合であっても、それ自体を成功と捉えられない傾向もあります。成功体験がない人と同様、「成功した」という実感を得たことがないため、新しいことに挑戦できなくなり、さらに自信を失くしてしまいます。その結果、ますます自己嫌悪に陥り、漠然とした不安を抱え続けてしまうのです。
関連記事:自分に自信がない人の特徴と原因は?克服する方法も解説
人にどう思われているか気になる人
人にどう思われているか気になる人は、他人の評価を気にしすぎる傾向があります。
「どうやったら人に良く思われるだろうか」「どうしたらあの人は自分を高く評価してくれるだろうか」というような考えにとらわれると、焦燥感にかられてしまい、漠然とした不安が生まれます。また、解決できない状態が続くと、他人の評価ばかりを気にしている自分に嫌気がさし、自己嫌悪に陥るケースもあるでしょう。
漠然とした不安に襲われたときの解消方法
漠然とした不安に襲われたときの主な解消方法は、以下の通りです。
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不安を抱えている自分を受け入れる
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できることに集中する
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わからないことは調べる
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自己投資をしてキャリアの選択肢を増やしておく
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誰かに話を聞いてもらう
人は誰しも、不安を抱えて生きています。まずは不安を抱えている自分を受け入れることが大切です。その上で、今できることに集中し、不安の原因になっている課題を解決していきましょう。わからないことがあれば都度調べ、疑問点を解消することも大切です。
また、将来のキャリアの選択肢を増やすことで不安が解消できる場合は、自己投資をしてスキルアップを図ってください。具体的な解消方法が思いつかない場合は、信頼できる誰かにアドバイスをもらうことも有効です。
大事なのは、一人で抱え込まないことです。適度に周りの人に助けを求めながら、不安と向き合っていきましょう。
不安を抱えている自分を受け入れる
不安を抱えることは、決して悪いことではありません。なぜなら、不安があることで未来のために行動でき、失敗を回避できることもあるからです。まずは、不安を抱えている自分を受け入れることが大切です。
おすすめの対処法は、今自分が不安に思っていることを紙やスマホに書き出すことです。不安に思っていることを書き出すことで、現在の課題を可視化でき、具体的な解決方法を導きやすくなります。
不安を書き出した後は、今すぐ取り組める課題と向き合いましょう。たとえば、勉強不足で試験に合格できるか不安に思うのであれば、勉強量を増やす習慣を身につけてください。コツは、少しずつ行動に移すことです。急に自分を変えようとしても、人は簡単には変わりません。少しずつ行動し、1歩ずつ前進しましょう。
不安を抱えている自分を受け入れ、行動することで、漠然とした不安は軽減されます。
できることに集中する
不安の原因を考え、今できることに集中しましょう。たとえば、不安に感じている問題を解決しようとしたとき、それが5年後にならないと解決できないことであれば、考えるのをやめましょう。そのうえで、今できることを考え、それだけに集中してください。今できることに集中することで、余計なことが頭から出ていき、漠然とした不安を軽減できるでしょう。
対処できないことを不安に思っても、事態は変わりません。今できることのみに集中し向き合っていきましょう。
わからないことは調べる
漠然とした不安を抱える人のなかには、わからないことがあっても放置し続ける傾向がある人もいます。
疑問に思うことがあるとき、その疑問と向き合わなければ不安は募るばかりです。現代はインターネットが普及し、いつでも誰でも簡単に情報収集できます。わからないことはすぐに調べる癖をつけておくことで、漠然とした不安を和らげられるでしょう。
自己投資をしてキャリアの選択肢を増やしておく
将来のキャリアに悩む人のなかには、具体的な行動を起こさないために漠然とした不安を抱えてしまう人がいます。
主な解決方法は、自己投資をすることです。たとえば、キャリアアップを図り、資格試験に挑戦することなどが挙げられます。資格を取得できればキャリアの選択肢を増やせ、キャリア形成の計画も立てやすくなり、結果的に将来の不安も軽減できるでしょう。
誰かに話を聞いてもらう
漠然とした不安を解消するためには、自分と向き合って思考し続けることは大切です。しかし、自分の考えだけでは解決の糸口がつかめず、路頭に迷うこともあるかもしれません。
そんなときは誰かに話を聞いてもらい、具体的なアドバイスをもらうことが有効です。まずは身近な友人や知人、家族や恋人に悩みを打ち明け、相談してみるのもよいでしょう。思い切って悩みを打ち明けることで、不安を解消するためのヒントが得られるかもしれません。
思い詰めてどうしようもなくなる前に、周りの人に話を聞いてもらいましょう。
カウンセラーに相談するのもおすすめ
誰かに話を聞いてもらいたくても、家族や友人だと相談しにくいこともあるでしょう。その場合は、専門のカウンセラーに相談することをおすすめします。もし日頃忙しくてカウンセリングを受けに行く時間が取れないという方には、オンラインカウンセリングという選択肢があります。インターネット接続ができる環境があり、プライバシーが守られ安心して話せる場所であれば、どこからでも利用可能です。
主に以下のメリットがあり、誰でも気軽に受診できるので、ぜひ検討してみてください。
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スケジュールの調整がしやすい
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地方や海外在住でも利用しやすい
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自宅からリラックスした状態で臨める
また、これからカウンセリングを受けてみたいというのなら、「こころケア」はいかがでしょうか。
「こころケア」は、医療機関での臨床経験のあるカウンセラーが在籍していますので、一人ひとりに丁寧に寄り添った、専門家ならではの心理的サポートを受けられます。
「不安にかられる毎日で精神的につらい」「どうやって不安と向き合ったらよいかわからない」という方は、「こころケア」をぜひ活用してみてください。
漠然とした不安が長く続いたときは
漠然とした不安が長く続いたときは、今向き合える課題にだけ取り組みましょう。ただし、漠然とした不安がいつまでも解消しない場合は、不安障害が生じている可能性もあります。
アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では、不安障害の定義を、不安や恐怖が6ヵ月以上続く場合としています。
今回紹介した解決方法で漠然とした不安に向き合っているにもかかわらず、その状態が6ヵ月以上継続する場合は、不安障害の可能性があります。精神科・心療内科の受診やカウンセリングの利用をされることをおすすめします。
参照:厚生労働省「社交不安障害(社交不安症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」
まとめ
漠然とした不安は誰しもが抱えるものですが、日々の過ごし方によって軽減することは可能です。まずは不安の原因となる課題を見つけ出し、解決のために行動を起こしましょう。不安を抱えている自分を受け入れ、今解決できることに集中してください。また、将来のために自己投資を行い、選択肢を広めておくこともよいでしょう。
どうしても解決策が得られない場合には、専門家によるカウンセリングを受けることもおすすめです。忙しくて時間が取れないという人でも、まずは気軽に相談できるオンラインカウンセリングを検討してみてはいかがでしょうか。
記事監修
公認心理師 櫻井 良平
国家資格
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- キャリアコンサルタント
- 社会福祉士
- 保育士
所属学会等
- 日本公認心理師協会
- 日本公認心理師学会
- 日本認知療法・認知行動療法学会
- 日本発達障害支援システム学会
(第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
- 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
- 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
- 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
- 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
(開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)