自己嫌悪とは?原因や自己嫌悪に陥ったときの対処方法を解説
現代社会では、自己嫌悪を感じて自分で自分を苦しめてしまう人が多いかもしれません。そういった人のなかには、自分なりの解決策を見つけて、目標に向かって前向きに進んでいく人がいる一方で、なかなかその状態から抜け出せず、苦しみ続けている人もいるでしょう。
本記事では、自己嫌悪の原因と対処方法について解説します。今、自己嫌悪で苦しんでいて、その状態から早く抜け出したいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
自己嫌悪とは
自己嫌悪とは、自分で自分自身のことを嫌いになることです。たとえば不用意に相手を傷つけてしまったり、自分に対して不甲斐なさを感じたりすると、自己嫌悪に陥ることがあるでしょう。
「こうなりたい」「こういうことがやりたい」といった願望が実現できないと、現実とのギャップを感じて自己嫌悪に陥ります。自己嫌悪に陥ると、自分を肯定できなくなり、マイナス思考が定着してしまいます。
自己嫌悪になりやすい人の特徴
自己嫌悪になりやすい人には、主に以下の特徴があります。
-
真面目で完璧主義な人
-
負けず嫌いな人
-
つい我慢してしまう人
-
マイナス思考な人
-
人にどう思われているか気になる人
自己嫌悪になりやすい人は、完璧主義で負けず嫌いな人が多いです。また、我慢強く、努力が継続しやすい傾向もみられます。その一方で、1回でも失敗してしまうと意気消沈し、理想と現実とのギャップに苦しみ、結果として自己嫌悪に陥ってしまうのです。
真面目で完璧主義な人
真面目で完璧主義な人には、理想が高い傾向がみられます。あらゆる面で求めるレベルが高く、自分がそのレベルに達していないと落胆します。
例えば、資格試験を受験し、試験の結果が96点だったとします。一般的には高得点と言える点数であるにもかかわらず、真面目で完璧主義の人からすると物足りないと感じる場合があるでしょう。「あと4点取れれば満点だったのに、最悪だ」と自己嫌悪に陥ってしまうかもしれません。
このように、理想の自分と現実の自分のギャップに落胆してしまう人は、自己嫌悪になりやすい人といえるでしょう。
負けず嫌いな人
負けず嫌いな性格は、必ずしも悪い性質とはいえません。実際、負けず嫌いな人には努力家が多く、目標に向かって努力し続けられる人がほとんどです。しかし、なかには負けを経験した際に、立ち直りが遅い人がいます。1度敗北すると意気消沈してしまい、自己嫌悪に陥る可能性があります。
また、負けを経験した後、1度は立ち直ることができても、再び負けてしまうことで戦意喪失し、最終的に自己嫌悪に陥る人もいます。
つい我慢してしまう人
つい我慢してしまう人は、つらいことがあっても無理して頑張り続ける傾向があります。その反面、結果が出ず理想通りに進まない場合は、「あんなに我慢して頑張ったのになんで…」と自己嫌悪に陥ってしまうのです。
例えば、スポーツの公式試合で活躍するために、きつい練習を我慢しコーチからの厳しい指導にも耐えてきた人がいたとします。そのような人が試合で結果を出せなかったとき、「自分には才能がないのだ」と卑下して自己嫌悪に陥ります。
我慢して頑張り続ける人ほど、自己嫌悪になりやすくなるといえるでしょう。
マイナス思考な人
マイナス思考な人は、たとえ一定の成果を出したとしても、自分を過小評価して自己嫌悪に陥ります。
例えば、会社のプレゼン大会で、練習どおりにパフォーマンスができず、成果を出せなかったとしましょう。プラス思考な人の場合は、たとえ成果を出せなかったとしても「次はもっと頑張って成果を出そう」と切り替えられる人が多いです。一方で、マイナス思考な人の場合は、成果を出せなかった自分を認められず、自己嫌悪になってしまいます。
人にどう思われているか気になる人
人にどう思われているか気にして顔色ばかりうかがう人は、自己嫌悪に陥りやすい傾向があります。他人の些細な言動に敏感で、傷つきやすく、自信を失いやすいのが特徴です。
また、他人からの評価を正しく受け取れていればいいのですが、些細な言動を勝手に解釈して「あの人は自分のことが嫌いなんだ」と思い込み、自己嫌悪になるケースもあり得ます。
関連記事:自己肯定感とは?低い人の特徴や高める方法をわかりやすく解説
関連記事:自分が嫌い・許せないという人へ|嫌いになってしまう原因と克服方法を紹介
自己嫌悪に陥ってしまう原因
自己嫌悪に陥ってしまう原因としては、主に以下の要素が考えられます。
-
過去の失敗を思い出して後悔する
-
人に危害を加えてしまう
-
勘違いにより人を咎めてしまう
-
大きな挫折や失敗を経験する
-
周りの人と比べて劣等感を感じる
-
決めたことをやり通せない
人は後悔なしでは生きていけません。生きていくなかで失敗することもあるでしょう。しかし、自己嫌悪に陥りやすい人はこのことを理解しながらも、失敗を受け入れられない傾向があります。予期せず人を傷つけてしまったり、勘違いによって人に迷惑をかけてしまったりすると、激しく自分を責めてしまうのです。
自己嫌悪に陥ったときの対処方法
自己嫌悪に陥ったときの主な対処方法は、以下の通りです。
-
他者と比較をしない
-
完璧を目指さない
-
ありのままの自分を受け入れる
他者と比較しても、メリットは1つもありません。なぜなら、比較対象となる人と、自分がいる環境は異なるケースがほとんどだからです。また、完璧を目指さないことが、自己嫌悪に陥らないためのコツです。理想の自分とは程遠い位置にいたとしても、ありのままの自分を受け入れ、自分ができることを積み上げていくことが大切です。
他者と比較をしない
他者と比較してしまうと、自分が他者より劣っている部分が目に入り、劣等感を感じて自己嫌悪に陥ってしまいます。
そのため、他者と比較してはいけません。どの世界にも、上には上がいます。また他者と比べたとしても、同じ条件や環境で生活しているわけではないため、比較の意味がない場合がほとんどです。
他者と比べるのではなく、自分がどうありたいのか、どうしたら幸せに暮らせるのかを考えて行動するとよいでしょう。
完璧を目指さない
完璧な人間なんて存在しませんし、失敗のない人生なんてありえません。成功するためには、失敗がつきものです。そのため、完璧を目指さず、目標に向かって進んでいきましょう。
完璧を目指してしまうと、失敗したとき心に傷を負ってしまい、自己嫌悪に陥るケースがあるでしょう。失敗前提で進んでいくぐらいの方が、心身ともに健康に過ごせます。
物事に取り組む際は、自分なりの成功基準を設定し、肩ひじを張らずに頑張りましょう。
ありのままの自分を受け入れる
「成果を出せない自分」を受け入れてください。最初から成果を出せる人はほとんどいません。成果を出すには一定の努力が必要であり、時間がかかるものです。
最初はできなくて当然。思い通りにいかず、理想と現実のギャップに苦しむこともありますが、そんな自分を受け入れましょう。そうすることで、自己嫌悪に陥りにくくなります。
自己嫌悪になりやすい自分を変えるには
自己嫌悪になりやすい自分を変えるには、主に以下の方法があります。
-
小さな成功体験を積み重ねる
-
今の自分ができることを実行してみる
-
人に相談する
自分を変えるためには、大きな成功体験ではなく「小さな」成功体験を積み重ねることが重要です。そして、今できる範囲の中で目標を設定し、少しずつ前進していきましょう。自分の考えだけで解決できそうにない場合は、周りの家族や友人、恋人などに相談することで、解決の糸口が見つかるかもしれません。
小さな成功体験を積み重ねる
自己嫌悪に陥らないためには成功体験を積み重ねることが大切です。とはいえ、いきなり成功体験を得るのはハードルが高いかもしれませんので、まずは「小さな」成功体験を積み重ねていきましょう。
成功体験は些細なことで構いません。「毎日6時に起きて本を読む」といった小さな目標でよいのです。日々、継続することで少しずつ自信が持てるようになり、自己肯定感が高まっていくでしょう。
今の自分ができることを実行してみる
目標を立てる際に大切なのは、今の自分ができる範囲で考えることです。
例えば、仕事で毎日忙しい人が、「1日3時間読書する」といった目標を達成することは難しいでしょう。このような困難な目標を立てるのではなく、「1日1時間、通勤電車のなかで読書する」と決めるとどうでしょう。目標達成のハードルが下がり、継続しやすくなり、結果的に自己肯定感を高めることにもつながります。
人に相談する
自分を変えるために、何ができるのかを自分で考えることは大切です。しかし、自分の考えだけで物事を進めてしまうと、考えが凝り固まり、よいアイデアが生まれないこともあるかもしれません。
そのようなときに必要なのが、人に相談することです。まずは身近な家族や恋人、友人や知人など、相談しやすいと思える人に話を聞いてもらってください。そのうえで、どう行動していくべきかを自分なりに考えてみるのがよいでしょう。
相談することで、自分が抱える問題が可視化でき、行動に落とし込みやすくなります。行動ができるようになれば、問題を解決の方向に持っていくことができ、自己肯定感も高まっていくでしょう。
カウンセリングを受けることもおすすめ
「身近な家族や友人などには相談しづらい」という人は、カウンセリングを受けることを検討してみてはいかがでしょうか。
カウンセリングを受けることで、専門家による心理学的な観点からのアドバイスがもらえます。もし忙しくて時間が取れないという人には、以下のメリットがあるオンラインカウンセリングがおすすめです。
-
スケジュールの調整がしやすい
-
地方や海外在住でも利用しやすい
-
自宅でリラックスした状態で臨める
カウンセリングというと身構えてしまう人も多いですが、オンラインカウンセリングであれば気軽に受けることができます。「今まさに自己嫌悪に陥っていてつらい」という人はもちろん、「今は落ち着いているけれど今後のために予防法を知っておきたい」という人も、1度相談してみてください。
オンラインカウンセリング「こころケア」なら、医療機関での臨床経験のあるカウンセラーが在籍していますので、一人ひとりに丁寧に寄り添い、専門家ならではの心理的サポートを受けることができます。
まとめ
自己嫌悪とは、自分で自分自身のことが嫌いになる状態を指します。もしも今、自己嫌悪に陥りそうなら、完璧を目指さず、ありのままの自分を受け入れることを心がけてください。失敗のない人生はないと認識し、できない自分を受け入れましょう。他者と比較しても意味はありません。今、自分ができることに集中し、1歩ずつ前進していくことが大事です。
具体的な行動の仕方がわからない場合は、身近な人に相談してください。自分では考えつかない、よいアイデアが得られるかもしれません。自分を決して卑下することなく、前向きに日々を生きていきましょう。
記事監修
公認心理師 櫻井 良平
国家資格
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- キャリアコンサルタント
- 社会福祉士
- 保育士
所属学会等
- 日本認知療法・認知行動療法学会
- 日本発達障害支援システム学会
(第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
- 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
- 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
- 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
- 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
(開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)