コラム

自己顕示欲とは?強い人の特徴や付き合い方、改善方法をわかりやすく解説

自分自身

人生において、人間関係は常について回ります。そのような中で、付き合いやすい人・苦手な人というのは誰しもあるでしょう。自己顕示欲の強い人は、自己アピールが強く、苦手と感じる人も多いようです。

今回は、自己顕示欲が強い人の特徴や、強くなってしまう原因をご紹介します。また、自己顕示欲が強い人との付き合い方や、自己顕示欲が強いのを改善する方法についても解説するので参考にしてみてください。

自己顕示欲とは

自己顕示欲とは、周りの人に自分をアピールして注目を集めたいという欲求のことを指します。顕示は、はっきりとあらわして示すという意味で、自己顕示は必要以上に自分を目立たせる行為です。

とくに、若い世代の場合、実績や経験も少なく、ストレスやコンプレックスを抱えています。そのため、自分を大きく見せたり、目立って注目されたりすることで、物足りない部分を満たしたくなることはあるでしょう。

また、SNSなど手軽に情報を発信し、不特定多数の人から評価を得られることで、他者に認められることを快感と捉えるケースも考えられます。自己顕示欲が強いことは一見プラスなように感じますが、周りの人からは度が過ぎる自己主張と受け取られることが多く、マイナスな意味で使われるのが一般的です。

自己顕示欲と承認欲求との違い

似たような言葉に「承認欲求」があります。承認欲求とは、他者から認められたいという欲求です。自己顕示欲も承認欲求も、成長過程において自然に生じるもので、誰もが持ち得る欲求とされています。

近しい概念ではありますが、自分の存在を周りの人にアピールしたい自己顕示欲と、周りの人に自分の存在や思考を認めてもらいたい承認欲求は似て非なる欲求です。

関連記事:承認欲求とは?強い人の特徴や原因、過度な欲求の緩和方法を解説

自己顕示欲と自意識過剰との違い

自意識過剰とは周りの人から自分がどう見られているのか、どう思われているのかを過剰に気にしてしまうことです。

ただし、自意識過剰の場合、目立ちたいという自己顕示欲と違って、自分の容姿や言動が周りの人にどう思われているか気にしすぎて、自身の不安やストレスになってしまうケースがあります。

自己顕示欲が強い人の特徴

自己顕示欲が強い人には、以下のような特徴が挙げられます。

  • 承認欲求が強い

  • 自分の話ばかりする

  • マウントを取りたがる

  • 他者を否定し認めない

  • 協調性がない

  • 他者からの評価を気にしすぎる

  • 嘘がつくことが多い

自己顕示欲が強い人は、周囲から認められたい気持ちが強く、アピールのために自分の話ばかりする傾向にあります。マウントを取ったり他者を受け入れなかったりすることも多く、周囲にうまく馴染めないことも多々あります。

それぞれについて、以降で詳しく解説しましょう。

承認欲求が強い

自己顕示欲の強い人の特徴として、承認欲求が強いことが挙げられます。

たとえば、自分のしたことを逐一周りの人にアピールしたり、会議などで頻繁に発言したりして認められようとする行為です。これは、自分の存在や思考を周りの人に認めてほしいという承認欲求が、自分をアピールしたい自己顕示欲として表れているといえます。

自分の話ばかりする

自己顕示欲の強い人は、自分をアピールするために、自分の話が多くなる傾向があります。話の内容は、リッチな海外旅行をしたことや、会社で上司から評価されたことなど、「すごいね!」と言われたいがための自慢話が多いでしょう。

さらに、他の人が話していても、「そういえば私も」と話を横取りするなど、いつも自分が話題の中心にいたいというのが特徴です。

マウントを取りたがる

自分の話が多いことに加え、会話のなかでマウントを取りたがる傾向があります。学歴や年収、外見などを自分のほうが優れているとアピールするために、他者をおとしめるような発言もみられるかもしれません。

これらは、自分の存在をより際立たせたいという自己顕示欲のひとつです。

他者を否定し認めない

自己顕示欲が強い人は、他者を否定して認めないことが多いです。

たとえば、「モデルのオーディションに受かった!」と友達に報告されても、すごいと口には出さず「運がよかったんだ」など、嫌な考え方や発言をしてしまうこともあります。他者が評価されることで、自分は評価されないと考えてしまい、他者を否定してしまうのです。

協調性がない

自己顕示欲が強い人は、協調性に欠ける傾向もあります。

たとえば、複数人で成し遂げるプロジェクトは個人の成果が評価されにくいため、自分だけが目立つことは考えにくいです。このように、他者と一緒に成し遂げるようなことには消極的な場合が多く、協調性がないと考えられます。

他者からの評価を気にしすぎる

他者からの評価を気にしすぎる傾向があるのも、自己顕示欲が強い人の特徴です。

たとえば、他者からの評価が気になって、あえて人の前できれいごとを並べたり、自分を周りの人はどう思っているか確認したりするなどの行為が挙げられます。自分をアピールしたい、よく見せたいという自己顕示欲のせいで、周りの人からの評価に敏感になってしまうのです。

嘘がつくことが多い

自分の実力や実績などの誇張や、本心ではないのに周りの人からよく見られたいがために違う行動を取ってしまうことがあります。自分は有名人と友達だと嘘をついたり、別荘を所持しているといったり、自分をよく見せようとして嘘をついてしまうのです。

これは、ありのままの自分だと、周りの人から評価してもらえないかもしれないというネガティブな感情からくるものです。

自己顕示欲が強くなってしまう原因

自己顕示欲が強くなってしまう理由として、以下のような原因が考えられます。

  • 自分に自信がない

  • 仕事やプライベートが上手くいっていない

  • 自分のことが好きすぎる

  • 育ってきた環境が影響している

自信がないゆえに、他者から認められようと自己顕示欲が強くなるケースもあります。一方で、自分のことが好きで自信満々だからこそアピールしたいケースも。自己顕示欲が強くなる理由にも、さまざまな原因があるのです。それぞれ詳しく解説しましょう。

自分に自信がない

自分の実力やスキルに納得できず、自分を認められないときに「もっと自信がほしい」という気持ちが自己顕示欲につながるケースが考えられます。他者から評価されたい気持ちや、理想の自分になりたいという思いが、目立ちたいという気持ちを掻き立て、自己顕示欲を強めてしまうのです。

仕事やプライベートが上手くいっていない

職場の人間関係や仕事内容にストレスを感じていたり、家族や友人との関係が上手くいかなかったりすることも原因になるでしょう。日常生活で抱えるストレスや不満が溜まっていくことで、自己顕示欲が強くなることが考えられます。

少しでも周囲に認められたい、褒められたいという気持ちが自己顕示欲として表れるケースもあるでしょう。

自分のことが好きすぎる

自信がないことと対照的に、自分のことが好きすぎる場合も自己顕示欲が強くなる場合があります。これは、自分への評価が高いあまり、より目立ってアピールしたいという考えがあるからです。

こういった人は自分が好きなものや、自分のことを好きになってくれる人以外に関心を示そうとしない傾向があります。自分が好きなことはパフォーマンスの向上にもつながりますし、前向きで良いことです。しかし、そのせいで自己顕示欲が強いと周りの人に嫌な思いをさせてしまうこともあるでしょう。

育ってきた環境が影響している

幼い頃に両親から褒められる機会や、周りの人から認められる経験が少なかったことも自己顕示欲が強くなる原因です。自分をアピールしなければ、興味を引けないと考えることが自己顕示欲につながります。

一方で、過保護に育てられて自己中心的な思考になり、自己顕示欲が強くなってしまう可能性もあるでしょう。

自己顕示欲が強い人との付き合い方

自己顕示欲の強い人が周りにいる場合は、付き合い方を変えてみるのもひとつの手段です。自己顕示欲が強い人との付き合い方には、以下の方法を試してみてはいかがでしょうか。

  • 自己顕示欲が強い人なのだと理解すること

  • 適度な距離を置く

付き合い方を変えれば、自己顕示欲が強い人とも上手に付き合っていくことが可能です。お互いストレスなく人間関係が保てるのであれば、ぜひ取り入れたい方法といえるでしょう。

自己顕示欲が強い人なのだと理解すること

まず、「この人は自己顕示欲が強い人なのだ」と理解することが大切です。前述した通り、自己顕示欲が強い人は幼い頃の愛情不足や自分に自信がないなどの原因が考えられます。

相手の自慢話などを聞くことはストレスになりかねませんが、そのネガティブな背景を想像するとストレスも多少は軽減されるでしょう。

適度な距離を置く

苦手と感じる人とは、適度な距離を置いて接するのが効果的です。苦手と感じる人と関わることで、自分がストレスを抱えるのは精神的によくありません。必要最低限の関わりに留めることが得策です。

自己顕示欲が強い人の話を早々に切り上げることで、「この人は構ってくれない」と認識され、自慢話などの頻度も減るかもしれません。

自分自身の自己顕示欲を改善する方法

人間の成長過程において、自己顕示欲は誰しも持ち得るものですが、もし自分が、自己顕示欲が強い人の特徴に当てはまっていたらどうすればよいのでしょうか。自己顕示欲の強さは、意識次第で改善することができます。注意したいポイントを見てみましょう。

他者と比較をしない

自己顕示欲が強い人は、自分は他者と比べて優位に立てているのか、劣っていないかにこだわります。しかし、そのとき比べた誰かに勝っていても、また違う誰かと自分を比較し続けなければなりません。

一時的に自分と他者を比較するよりも、自分自身と向き合って、自分を見つめなおすことが大切です。

自己肯定感を高める

周りの人に自分を褒めてほしい、見てほしいという気持ちは、自己肯定感が低く、自分自身を大切に思えていないことの裏返しです。自分の現状を受け入れ、周りの人の評価ではなく、自分自身を評価して自己肯定感を高めましょう。

たとえば、日常にちょっとした目標を定めてみましょう。小さな目標をクリアしていくことの繰り返しが自信につながります。自己肯定感について、詳しくは以下を参考ください。

関連記事:自己肯定感とは?低い人の特徴や高める方法をわかりやすく解説

自己顕示欲をコントロールしたいなら、オンラインカウンセリングを受けてみよう

自己顕示欲の強い人との関わり方や、自己顕示欲が強くて周りの人との関係で悩んでいる人は、「こころケア」のカウンセリングがおすすめです。「こころケア」では、オンラインカウンセリングを導入しているので、自宅や車内など、自分が落ちつける場所でカウンセリングを受けることができます。抱え込んでいる悩みを吐き出すことで、状況を整理するきっかけになり、少しでも心が軽くなるというメリットも考えられるでしょう。

自己顕示欲の強い人と上手に向き合うため、自分の自己顕示欲の強さをコントロールできるようになるため、一度オンラインカウンセリングを受けてみるのはいかがでしょうか。

 

記事監修

公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • キャリアコンサルタント
  • 社会福祉士
  • 保育士
所属学会等
  • 日本認知療法・認知行動療法学会
  • 日本発達障害支援システム学会
    (第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
  • 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
  • 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  • 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  • 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
    (開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)