コラム

自己肯定感とは?低い人の特徴や高める方法をわかりやすく解説

自分自身

自己肯定感は、私たちの人生において重要な役割を果たす要素です。自分に自信を持ち、ポジティブに生きるために欠かせません。一方で、さまざまな要因によって、自己肯定感を高く持てないことに悩む方は少なくありません。

ここでは、自己肯定感を高く持ちたい人に向けて、自己肯定感の定義から、自己肯定感が高い人と低い人の特徴、低くなる原因や高めるための方法について説明します。

自己肯定感とは

自己肯定感とは、自分の存在を積極的に評価できる感情や、自分の存在意義や存在価値を肯定的に捉えることができる感情のことです。自分が自分の価値を認めて、自分自身を愛し、自己成長や自己実現を追求するうえで大切な要素です。

自己肯定感が高い人は、困難に立ち向かう勇気や自己効力感を持ち、自分の意見や価値を大切にする傾向があります。

また、自己肯定感を支える感情として、自己好感・自己重要感・自己有能感という言葉があります。それぞれの言葉は、以下のような感覚を意味します。

  • 自己好感:「自分は好かれている」という感覚

  • 自己重要感:「自分は大切な存在である」という感覚

  • 自己有能感:「自分は誰かの役に立っている」という感覚

自己肯定感が高い人の特徴

では、自己肯定感が高い人の特徴とは、どのようなことなのでしょうか。以下のような特徴を意識することで、自己肯定感が高い人に近づけるでしょう。

  • 行動や考え方がポジティブ

  • 主体性を持って行動できる

  • 自分自身の感情のコントロールができる

自己肯定感の高さは、前向きに考えて実際に行動を起こすこと、また自身の感情に振り回されないことが大切といえます。

行動や考え方がポジティブ

自己肯定感が高い人は、ポジティブな行動や考え方を持っています。失敗を恐れない人や、失敗しても自分を受け入れて前に進める人は、自己肯定感の高い人です。

また、他人からの評価を必要異常に気にしないことも特徴の一つです。自己肯定感が高いと、上司や同僚から注意や否定的な言葉を受けたとしても、あくまで意見の1つとして捉えて自己成長につなげることができます。

主体性をもって行動できる

主体性とは、変化や目の前のやるべきことに対して前向きに対処していくこと、特定の業務など限られた範囲だけでなく、さまざまな方面に働きかける力のことです。

自己肯定感の高い人は、自分の目標や価値観に基づいて行動し、自分の行動を積極的に決定していきます。誰かの評価や意見を気にせずに、自分がどうしたいかを軸に意思決定と行動ができます。

自分自身の感情のコントロールができる

自己肯定感が高い人は、自分自身の感情をコントロールする能力を持っています。

自己肯定感が高いと、感情的になったり、ネガティブな感情に振り回されたりすることなく、冷静な判断を下すことができるでしょう。自分の能力が他人よりも劣っていることに気づいたとしても、客観的な事実として捉えて落ち込みません。

自己肯定感が高いことにより、自分の長所や得意な分野で活躍することに注力できます。

自己肯定感が低い人の特徴

一方で、自己肯定感が低い人の特徴はどのようなものなのでしょうか。

  • 自分に自信がない

  • 他者と自分を比較する癖がある

  • 承認欲求が強い

  • トラウマがある

自己肯定感が低いと、自分に自信がないことによって、他人の良いところと自分の欠点に目が向きがちになります。

自分に自信がない

自己肯定感が低い人は、自分に自信を持つことができません。自分の能力や存在価値に疑問を持ち、自己否定的な思考に囚われる傾向があります。自分自身に厳しい基準を持ち、自分を過小評価してしまうことがあるでしょう。

また、自分が自分の味方であるという感覚の自己信頼感が低いことによっても、自信は持てないものです。自信がないと、他人の顔色をうかがうことが多く、人よりも自分は劣っていると感じます。

育った環境では、放置や虐待を受けて育った人、結果が出たときは褒められても出ないときは怒られた人は、自分に自信がない状態で育ってしまうことがあります。

他者と自分を比較する癖がある

自己肯定感が低い人は、他者と自分を比較する癖があります。他人の成功や才能に焦点を当て、自分との比較によって自己肯定感を下げてしまうことがあるでしょう。

幼少期に褒められた経験が少ない人は、自分が周囲の人にとって必要な人間なのか気になってしまい、他者基準で物事を考えてしまうことがあります。自分への評価に自信を持つことができず、他者と自分を比べてしまうのです。

承認欲求が強い

自己肯定感が低い人は、他人からの承認や評価を強く求める傾向があります。承認欲求が強いと、他人の意見や評価に過度に依存し、自分自身を客観的に評価することができなくなります。

幼少期に衝撃的なことがあった場合や、劣等感が強いなどの理由で自分のことを前向きに評価できない場合、自分が認められない感覚を埋めるために承認欲求が強くなります。

このように、自己肯定感を高く持てない理由には、承認欲求も関係していることがあるでしょう。

関連記事:承認欲求とは?強い人の特徴や原因、過度な欲求の緩和方法を解説

トラウマがある

自己肯定感が低い人には、過去のトラウマや傷が影響していることがあります。過去の失敗や傷ついた経験が、自己評価や自己肯定感を低くしている原因かもしれません。

トラウマは一人では対処しきれない、圧倒されるような体験によって起こる心の傷です。要因はさまざまですが、地震や津波などの大災害、虐待や犯罪、性的暴行、事故、家族の死などを経験した方にトラウマが起こりやすいです。

自己肯定感が低くなる原因

自己肯定感が低くなる原因はさまざまですが、以下にいくつかの一般的な要因をご紹介します。

  • 過去の失敗や挫折体験

  • 他者からの否定的な評価や批判

  • 社会的な理想像や規範が自分に合わない

  • トラウマや過去の傷

過去の失敗や挫折は、自己評価や自己肯定感にネガティブな影響を与えることがあります。たとえば、何度も失敗した経験があると、自分の能力が低いと感じて自己効力感が低下してしまうことがあります。

また、他者からの否定的な評価や批判も、自己肯定感を低下させる要因となります。他人の言葉や態度に過剰に敏感になり、それを自己評価に結びつけてしまうことで自己肯定感が低下することも。ときに、幼少期の経験が自己肯定感に長期的な影響を与えることがあります。

社会が定める理想像や社会規範が自分に合わないと感じることも、自己肯定感が低下する原因の1つです。社会的な比較や外部からのプレッシャーによって、自己評価や自己肯定感が低くなってしまうでしょう。

さらに、過去のトラウマ体験や虐待、いじめなどの傷は、自分には価値がないと感じることの要因になり、自己肯定感を損なうことがあります。

自己肯定感を低くしてしまう要因はいくつかありますが、いずれも原因を知り、適切に対処することで自己肯定感を高めることは可能です。

自己肯定感を高める方法

続いて、自己肯定感を高める具体的な方法について説明します。

  • 自分自身を理解し受け入れる

  • 物事の捉え方をポジティブに変換する

  • 成功体験を積み重ねる

  • 環境を整える

  • 他者から心理的なサポートを受ける。

まずは自己理解をすること、そして考え方を変えること、成功体験を積み重ねることが大切です。また、自分だけでなく、外部の環境を整えることや、他者を頼ることも大切です。

自分自身を理解し、受け入れる

自己肯定感を高める第一歩は、自分自身を理解し、受け入れることです。

自分の弱点や過ちに対して自己嫌悪に陥るのではなく、自分は自分のどこがダメだと感じているのか、それは本当にダメなことなのか、思い込みに気づいて自分を許してあげることが大切です。

自分が感じていることを紙に書き出して、客観的に自分を捉えるとよいでしょう。どのようなタイミングで、どのような感情が湧いたかを客観的に見ることによって、認知を捉え直すトレーニングになります。

このように自己理解をしていくことは、自分自身を愛し、大切にするための土台となります。

物事の捉え方をポジティブに変換する

自己肯定感を高めるためには、ネガティブな思考をポジティブなものに変えることが重要です。自分の成功や成長を思い返して、自己効力感や自己重要感を取り戻すとよいでしょう。

過去のミスは学びの機会だったと捉え、次はどうしていくかポジティブに考えることができます。また、自身の欠点が気になる場合も、短所は長所として考えることが可能です。

発想を変えていくことで、自己効力感が高まり、自己肯定感にも良い影響があるでしょう。

成功体験を積み重ねる

小さな目標を設定し、達成することで、自信をつけることができます。

「決めた回数だけ筋トレをする」「部屋を掃除する」など、小さな成功体験を通じて、自分の能力や成果を認めることが重要です。目標達成を続けることによって、「次はこんなこともできるかも!」と少しずつ難易度を上げていくとよいでしょう。コツコツを取り組むことで大きなことが成し遂げられるようになります。

成功体験は自己肯定感を育む土台となりますので、小さくても継続的に挑戦してみましょう。

環境を整える

自己肯定感を高めるためには、周囲の環境も大切です。ポジティブな人との関わりやサポートを受けることで、自己肯定感を高めることができます。

自分を尊重してくれる人と関わるようにする、傷つくことを言う人はなるべく避けるようにするなど、自己成長を促す環境を整えることを意識しましょう。支えてもらったり、自分がサポートに回ったり、他者と自分を信じる練習をすることで自己肯定感を向上させることができます。

他者から心理的なサポートを受ける

自己肯定感を高めるためには、他者からの心理的なサポートを受けることも有効です。

信頼できる友人や家族から助言をもらったり励ましてもらったりすることで、自己肯定感を向上させることができます。話すことで気持ちを整理でき、自分では気づかなかった自分の特徴や新たな視点、支えを得ることができます。

相手に迷惑をかけてしまうことが気になる方もいるかもしれませんが、現状の自分では対処できないこともあります。この場合は対処できないという事実を受け入れ、助けを求めることによって自己成長につながるでしょう。また、意外かもしれませんが、相談をすることで相談相手との信頼関係を築くこともできます。

自己肯定感を高めるにはオンラインカウンセリングもおすすめ

自己肯定感を高めるために誰かのサポートを受けたくても、家族や友人に相談するのは気が引けてしまう場合もあるかと思います。そのようなときには、「こころケア」で専門的なカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

「こころケア」は、スマホとインターネット環境があり、プライバシーが守られ安心して話せる場所であれば、どこからでもカウンセリングを受けることができます。医療機関での臨床経験があるカウンセラーや、複数のカウンセラーから相談相手を選ぶことができます。

オンラインカウンセリングを通じて、自分にはどのような方法が自己肯定感を高めるために有効な手段か、きっかけをつかむ機会になりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

自己肯定感が高い人とその特徴、自己肯定感を高めるための方法について説明しました。自己肯定感が高い人は自分に自信を持っていて、考え方がポジティブです。一方で、自己肯定感が低い人は、自分に自信がなく、考え方もネガティブな人が多いです。

自己肯定感を高めるためには、まずは自分自身を理解し、受け入れることが大切です。そのうえで、小さな成功体験を積み重ねたり、必要なときには周囲の人にサポートを求めたりすることで、徐々に自己肯定感を高めることができます。

周囲の人を頼るのに抵抗がある方は、「こころケア」のオンラインカウンセリングで悩みやストレスを打ち明けてみてはいかがでしょうか。自己肯定感を高めるための第一歩として、お役に立てれば幸いです。

 

記事監修

公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • キャリアコンサルタント
  • 社会福祉士
  • 保育士
所属学会等
  • 日本認知療法・認知行動療法学会
  • 日本発達障害支援システム学会
    (第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
  • 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
  • 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  • 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  • 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
    (開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)