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マタニティブルーとは?いつまで続く?症状や乗り越え方を解説

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妊娠中の女性に多いマタニティブルーですが、「聞いたことがあるけど詳しく知らない」「どうやって乗り越えるの?」と思う女性は多いでしょう。

マタニティブルーは、妊娠中の2〜3人に1人が経験する不安定な心身状態のことです。突然悲しくなり涙が止まらないなど気持ちが不安定になりますが、自分に合った方法で症状を緩和できます。

しかし、強い不安症状を放置していると産後うつに進行することもあり、自分がマタニティブルーの傾向があるか知っておくことが大切です。

今回は、マタニティブルーが起こる原因や症状、乗り越え方などを詳しく解説します。マタニティブルーについて理解し、症状が悪化する前に対策できるよう参考にしてみてください。

マタニティブルーとは

マタニティブルーとは、妊娠中に起こる不安症のことをいいます。妊娠中の不安や悲しい気持ち、涙が止まらないといった状態は、多くの女性が経験している心の悩みです。

マタニティブルーになると、コントロールできない感情に葛藤してつらい気持ちになりますが、ほとんどが一過性で自然に治る場合が多いでしょう。

ただ、症状の程度や治るまでの期間は個人差があり、症状が長引くと産後うつに移行する可能性もあります。そのため、マタニティブルーと産後うつの違いについて、しっかりと理解しておくことが大切です。

マタニティブルーとマタニティブルーズの違い

一般的に、妊娠中の気分の落ち込みや不安な状態をマタニティブルーといいます。そのマタニティブルーの中でも、医学的な名称としてマタニティブルーズがあり、主に出産後の不安症状を示した用語として使われます。

マタニティブルーとマタニティブルーズは、妊娠中と出産後のホルモン変化においてメカニズムの違いがあるため、それぞれ区別されているのです。

本記事では、妊娠中の気分の落ち込みや不安な症状として、マタニティブルーについて解説しています。

産後うつとの違い

マタニティブルーと産後うつは、女性に起こる心身の不安定な状態のことです。しかし、症状の重さや経過、対応の仕方に違いがあり、適切な治療が必要になるケースもあるため注意が必要です。

ここでは、マタニティブルーと産後うつの違いについて表でわかりやすく解説します。

  マタニティブルー 産後うつ
発症時期 妊娠初期から発症することがある 産後3ヶ月以内の発症が多い
発症率 30〜50% 10〜20%
症状 突然気持ちが落ち込む、涙が止まらなくなる、イライラする、疲れやすい、集中力が低下する、物覚えが悪くなるなど 気分が落ち込む、食欲がなくなる、眠れない、自分を責めてしまう、夫や家族に攻撃的になる、何をしても楽しいと感じない、子どもが可愛いと思えないなど
経過 早い人は2〜3日、1〜2週間で自然に治る 症状は2週間以上、長い場合は数ヶ月〜1年続くこともある

このように、マタニティブルーと産後うつは、発症の時期や症状、治るまでの経過が異なることがわかります。

マタニティブルーはいつまで続く?

マタニティブルーは、ホルモンバランスの変化や自律神経の乱れによって起こりやすいものです。ほとんどの場合は、1〜2週間ほどで自然に治ることが多いといわれています。

しかし、あくまでも目安であり、症状の程度や治るまでの期間には個人差があることが特徴です。なかにはマタニティブルーの症状が現れてから、2週間経ってもなかなか回復しない場合もあるでしょう。

ですが、すぐに「自分はうつ病なのかもしれない」と悲観的にならず、まずは自分自身の心の状態をチェックすることが大切です。

マタニティブルーの症状

マタニティブルーになると、理由もなく涙が止まらなくなったり気分が落ち込んだりといった不安定な心理症状がみられます。また、眠れなくなったり倦怠感や頭痛が続いたりと、身体的な不調が現れることも特徴です。

このようなマタニティブルーの症状は、人によって症状の種類や重さが異なります。中には、マタニティブルーになっていることに気づかず、不安定な心身の状態に悩んでいる方も多いでしょう。

そこで、自分にはどのような症状が起きているのか知るために、心理的な不調と身体的な不調についてセルフチェックしてみてください。

 

【メンタル的な不調】

  • 理由もなく気持ちが落ち込む
  • 突然不安な感情が押し寄せる
  • 急に泣きたくなり、涙が止まらない
  • 自分や家族にイライラする
  • 自己嫌悪になってしまう
  • 焦ってしまう
  • 感情をコントロールできない

【身体的的な不調】

  • 眠れない
  • 過食または拒食が止まらない
  • 倦怠感がある
  • 頭痛がある
  • 動悸がある
  • 息切れする
  • 集中力が低下する

このように、マタニティブルーは心身の不調が起こることが特徴です。そのまま産後に入り、不調を感じながら赤ちゃんのお世話に日々追われ、自分の不調を後回しにする人が多いかもしれません。

まずはセルフチェックを通して、自分の心身の不調に気づいてあげましょう。

マタニティブルーが起こる原因

マタニティブルーは、妊娠中の女性であれば誰でもなる可能性があり、さまざまな要因が重なって起こる現象です。

はっきりとした原因は解明されていませんが、ここではマタニティブルーに関係するとされている3つの原因について解説します。

ホルモンバランスの変化

着床から妊娠初期、中期、後期、出産に至るまで、女性ホルモンの分泌量は大きな変動がみられます。

妊娠中は、エストロゲンとプロゲステロンが、妊娠周期が進むにつれて分泌増加することが特徴です。

妊娠準備の役割を担うエストロゲンは、妊娠前から50〜1100倍といった量が分泌されています。妊娠後期では、赤ちゃんに栄養を送る役割があるヒト胎盤ラクトゲンや、母乳を作り出すプロラクチンといったホルモンも増加します。

このように、妊娠前と比べて複数のホルモン分泌が著しくなり、ダイナミックな変動が起こることから、マタニティブルーを引き起こすと考えられているのです。

ストレス

心理的なストレスがかかることも、マタニティブルーが起こる原因といわれています。

たとえば、初めて妊娠した方の場合、妊娠周期が進むにつれて変化する自分の体型やつわりなどのトラブルは、大きな心理的ストレスとなるでしょう。また、妊娠前から精神的な不調がある方や夫婦関係に問題がある方、周りのサポートが少ない方、前回の妊娠でトラブルがあった方などは、マタニティブルーが起こりやすいとされています。

このような問題がストレスとなり、妊娠中に気分の落ち込みや身体的な不調をきたすことになります。

体力の低下や睡眠不足

妊娠中は、少しずつお腹が大きくなったり、むくみが出てきたりと、身体を動かすことに不自由を感じるようになります。

激しい運動はできないため、妊娠前と比べて体力の低下がみられる方は多いでしょう。また、つわり症状がひどい方やむくみが強くて寝付けない方、妊娠後期で横になることがつらい方などは、十分な睡眠が取れていない場合があります。

このような体力の低下や睡眠不足は、自律神経の不調につながりやすいでしょう。その結果、心身の両方に不調を引き起こすことになります。

マタニティブルーになりやすい人の特徴

妊娠中から出産にかけて、マタニティブルーになる方は約30〜40%と誰でもなる可能性があり、珍しいわけではありません。

その中でも、特にマタニティブルーになりやすい人の特徴として、以下が挙げられます。

【マタニティブルーになりやすい人の特徴】

  • 妊娠前にPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快症候群)になっていた方

  • 真面目な方

  • 責任感が強い方

  • 妊娠前にうつ症状があった方

  • 他人に悩みや不安を相談できない方

妊娠前から気分の不安定さを経験していたり、悩みを一人で抱え込んでいたりといった状態が続いているでしょう。その結果、妊娠中のホルモンバランスの変化にも対応できず、マタニティブルーの症状が現れると考えられています。

マタニティブルーの乗り越え方

マタニティブルーは生理現象の一つで自然に治るため、薬による治療は必要ありません。ただ、心身ともに不調をきたしている状態で、長い妊娠期間を過ごすのはつらいことでしょう。

そこで、マタニティブルーの場合でも適切な対応ができるよう、つらい時期の乗り越え方について以下に挙げました。

  • マタニティブルーについて理解しておく

  • 素直に感情を出す

  • 心と身体を休める

  • 適度な運動を行う

  • 誰かに話を聞いてもらう

マタニティブルーになると、さまざまな感情や不安、身体的な負担が重なっていきます。自分一人で抱え込まずに信頼できる人に話をしたり、ゆっくりと休息を取ったりすることで、心身ともに休ませてあげましょう。

ここでは、5つの乗り越え方について紹介します。

マタニティブルーについて理解しておく

妊娠中、夫や家族にイライラしたり、急に涙が出て止まらなかったりするのはマタニティブルーの症状です。この時、原因を知らずに過ごしていると、自分に嫌悪感を抱いたり夫や家族に攻撃的になったりするかもしれません。

しかし、マタニティブルーについて自分も周りの家族も理解していれば、「今は、ホルモンバランスが不安定なんだね」「ゆっくりと心身が休まっていないんだね」と納得できます。そして、マタニティブルーは一時的だと知っていることで、気分の不安定さや身体の不調を受け入れやすくなるでしょう。

このように、今の状態がマタニティブルーの影響であると理解することは、つらいマタニティブルーの期間を乗り越えるために大切な考え方となります。

素直に感情を出す

マタニティブルーは、責任感が強い方や他人に悩みを話すことが苦手な方にあらわれやすいことが特徴です。

また、「ママになるんだから、我慢しないといけない」といった感情にとらわれることもあるかもしれません。そうすると、不安や感情が不安定でつらいこと、妊娠中のつらさなどを一人で抱えてしまうでしょう。

しかし、妊娠中の不安やつらいことは、夫や周りの家族、友人たちに素直に伝えても良いのです。感情を素直に出すことで、共感や協力をしてもらえたり心身の負担が軽くなったりします。

いきなり感情を出すことが難しい場合は、思いきり泣いてみることも感情を出す一つの手段といえます。

心と身体を休める

妊娠中は、つわりや動悸、大きなお腹で眠れない状態が続き、イライラや気分のムラ、身体的な負担などが起きやすくなります。そのような状態が続くと、十分な睡眠が取れなかったり常に心が休まらなかったりするため、さらに心身の負担が強くなるでしょう。

特に、睡眠不足は心身の健康に大きく影響を与える要因です。そのため、眠いと感じたときに寝たり、横になってゆっくりとできる時間を作ったりすることが大切です。また、夫や家族に協力してもらい、家事や掃除などの身体に負担がかかる動作を控えることもおすすめです。

妊娠中に心と身体をしっかり休められることで、出産や産後の赤ちゃんのお世話を前向きに捉えられるようにもなります。

適度な運動を行う

妊娠中は、行動が制限されることが多いでしょう。特に、妊娠前にスポーツをしていた人や身体を動かすことが好きな人にとって、行動の制限があることはストレスが溜まる大きな要因となりえます。

妊娠経過に問題がない場合は、散歩やウォーキング、マタニティヨガ、スイミングなどの軽い運動を行うことがおすすめです。運動によって脳の血流が良くなり、幸せを感じるホルモンであるセロトニンが多く分泌されます。その結果、ストレス解消につながり、マタニティブルーの症状が軽減されるでしょう。

誰かに話を聞いてもらう

妊娠中の不安や悩み、マタニティブルーによる心身のつらさなどは、夫や家族、友達に話を聞いてもらうことがおすすめです。身近な人に話をすることで気持ちが楽になり、どのような思いで過ごしているのか伝えられるため、寄り添ったサポートをしてくれるでしょう。

夫や家族に相談しにくい場合は、地域の保健師や病院の助産師など、妊娠・出産のサポートを熟知している方に相談する方法もあります。妊娠中にさまざまな人からサポートを受けていると、自分ではわからない変化に気づいてもらえたり、産後の赤ちゃんとの生活を支えてもらえたりするでしょう。

カウンセラーに相談するのもおすすめ

家族や友人に話しにくい場合は、カウンセラーに相談する方法もあります。

そこでおすすめなのが、オンラインカウンセリングの「こころケア」です。こころケアは、医療機関の臨床経験があるカウンセラーが在籍し、専門的なサポートが受けられるため、妊娠中の不安や悩み、マタニティブルーのつらい症状などに寄り添ってもらえます。オンラインカウンセリングであるため、スマホとインターネット環境があり、プライバシーが守られ安心して話せる場所であれば、どこからでも利用できることも大きなメリットです。

マタニティブルーの症状が長く続くときは

マタニティブルーの症状は、妊娠初期から中期に起こりやすく、3〜4日ほどで治ることがほとんどです。ただ、心身の負担で感じるつらさは受け止め方によるところも大きく、個人差があるでしょう。

たとえば3週間以上続いている場合や、症状の期間によらずつらさが耐えられない場合は、かかりつけの産婦人科に相談してください。そのまま放置してしまうと、産前うつや産後うつに移行する可能性があります。抑うつ状態は専門的な治療が必要になり、出産や産後の赤ちゃんとの生活に大きな影響を与える恐れがあるのです。

抑うつ状態になっている方の中には、つらい気持ちがあっても自分の状態に気づけない方もいます。その場合は、夫や家族に感情を伝え、病院に付き添ってもらいましょう。

まとめ

マタニティブルーは、妊娠中の女性であれば誰でも起こる、心身の不安定な状態を示します。ホルモンバランスの変動、睡眠不足やストレスなどが重なり、さまざまな心身の負担を感じますが、一時的で自然に治ることが特徴です。

ただ、人によっては産前うつや産後うつに移行する可能性があるため、マタニティブルーへの理解や適切な対応が大切になります。たとえマタニティブルーになっても一人で悩みを抱え込まず、十分な休息やリフレッシュ、家族や地域の相談員に感情を話し、つらい時期を乗り越えていきましょう。

家族に相談しにくい場合は、「こころケア」のオンラインカウンセリングを受けてみることもおすすめします。妊娠中の心身の負担を少しでも軽減できるよう、さまざまなサポートを活用してみてください。

 

記事監修

公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • キャリアコンサルタント
  • 社会福祉士
  • 保育士
所属学会等
  • 日本認知療法・認知行動療法学会
  • 日本発達障害支援システム学会
    (第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
  • 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
  • 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  • 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  • 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
    (開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)