何もしたくない、やる気が出ないと感じるのは病気?無気力になる原因と対処法を解説
「なんだか急にやる気が起こらなくなった」
「休んだ方がいい気はするけど、このままでいいのかな…」
心の疲れは外見に見えるものではありませんが、蓄積し続けると無気力になって行動を起こせなくなる原因になります。
ここでは何もする気が起こらないと悩む方に向けて、無気力の原因として考えられることと、日常で実践できる対処法について説明していきます。
何もしたくない、やる気が出ないと感じるのは病気?
何もしたくない、やる気が出ないと感じるのは疲れているサインであり、必ずしも病気というわけではありません。
真面目な人ほどやる気が出ない自分を責めてしまう傾向にありますが、誰にでもあることなので、自分を責める必要はないことです。
ただし、不眠やめまいなど何らかの症状が伴う場合や、趣味などの楽しいことにもやる気が起きない場合などは注意が必要です。なかには病気が隠れているケースもありますので、注意しておきましょう。
何もしたくない、やる気が出ないと感じる原因
では何もしたくない、やる気が出ないと感じる原因は何なのでしょうか。基本的には、以下のパターンが多いと考えられています。
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ストレスが過度にかかっている
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肉体的な疲労が溜まっている
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環境に変化があった
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生活リズムに乱れがある
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何をしたらよいかわからなくなっている
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がんばる目的がわからなくなった
以上のように、精神的な負担や肉体的な負担、また、具体的な目標が失われたときなどは行動が起こしにくくなることが多いでしょう。以降では、それぞれの原因について説明していきます。
ストレスが過度にかかっている
大きな仕事を任されたときにプレッシャーを感じすぎたり、人間関係で気を遣いすぎたりすると精神的なストレスを感じるものです。はじめはあまり負担に感じていなかったとしても、知らないうちに大きなストレスになっていることもあるでしょう。
ストレスが過度にかかると、ストレスのもととなる問題に気を取られて判断を間違えるなど、普段はしないミスをしてしまうことがあります。また、人との交流がおっくうになったり、意見を出すことや話合いをすることができなかったり、人との関わりに消極的になることもあります。ある問題が気になって夜眠れない方や、仕事・勉強をしていないときでも上手くリラックスできない方もいるでしょう。
肉体的な疲労が溜まっている
残業が続いていたり、睡眠不足で疲れがとれていなかったりするときは、肉体的な疲労が溜まっている状態といえるでしょう。
肉体的な疲労があると、朝起きるのがつらい、全身がだるい、集中力がなく考えがまとまらない、食欲が湧かないほか、目の疲れや肩こり、腰痛など身体的なつらさを感じることもあります。
環境に変化があった
就職や転職、入学、引越しなどの環境の変化も、やる気が出なくなる原因になります。ネガティブなことだけでなく、結婚や昇格など、ポジティブな変化にも注意が必要です。
職場や通学先が変わって新しい場所や人間関係に馴染めるかどうか、また、昇格したときには新しいポジションで活躍できるかどうかが気になったりするものです。結婚後は、新しく住む場所で上手くやっていけるかどうか不安になる方もいるでしょう。
生活リズムに乱れがある
夜更かしが続いたり、食事を抜いたりすると、生活リズムの乱れにつながります。食事で十分な栄養を取れないほか、リズムが乱れて疲れが取れにくくなったりします。
また、食事時間のばらつきや欠食は、肥満や高血糖、脂質異常症、高血圧などの原因にもなります。腸に異常がないにも関わらず、不規則な食事や睡眠不足によって便秘や下痢などが起こる過敏性腸症候群となる場合もあるでしょう。
何をしたらよいかわからなくなっている
ゴールやすべきことがわからなくなると、やる気が出なくなります。進むべき方向やゴールが曖昧だと、モチベーションを保つことが難しくなるでしょう。
また、優先順位をつけられないときにも意欲の低下が起こりやすいものです。やることがありすぎる場合には、作業に取りかかる前から別の作業のことが気になり、混乱してしまうことがあるでしょう。
がんばる目的がわからなくなった
目標に向かって努力をしてきた人の場合、心身の疲労が限界を迎えると、燃え尽き症候群になるケースがあります。
燃え尽き症候群は動くための気力やエネルギーがない状態なので、何かしらの行動を起こすこと自体が難しくなるでしょう。
燃え尽き症候群はバーンアウトシンドロームとも呼ばれ、朝起きられなくなったり、出勤が難しくなったり、また、アルコールの量が増えることなどもあります。
関連記事:燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)とは?主な症状や原因、対処法について解説
何もしたくない、やる気が出ないと感じたときの対処法
実際に何もしたくなくなったときややる気が出ないときには、どのような対処法があるのでしょうか。ここでは対処法として、以下のことを説明します。
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休息を取ること
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睡眠時間を確保すること
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生活リズムを整えること
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適度な運動をすること
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心の整理をすること
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誰かに話をきいてもらうこと
主な対処法は休みをとることや、心身を整えるための行動をすることです。それぞれについて説明します。
休息を取ること
何もしたくないと感じることの原因は、心や体の疲労です。思い切って休むことに専念することで、またやる気が湧いてくるでしょう。
ふと「何もしたくない…。」と思う方は、普段から努力をしている真面目な方が多い傾向にあるため、仕事や勉強のことなどを忘れてしっかりと休むことが大切です。
1日休んだくらいでは気力が戻らないこともありますので、場合によっては有給休暇などを使って数日休むことも考えましょう。
睡眠時間を確保すること
睡眠は、心身の回復に欠かせないものです。不足している実感がある方は、一度しっかりと睡眠をとりましょう。
自分に合った睡眠時間は人それぞれですが、6.5時間〜7時間は確保したいものです。毎日が難しい場合は、3~4日に一度はいつもよりたくさん寝ることや、昼間に15分ほどの睡眠を取るなども良い方法です。
睡眠が不足していると、メンタルの不調だけでなく判断力や思考力、免疫力の低下も起こります。不足しないように注意していきましょう。
生活リズムを整えること
生活リズムが乱れると心身の疲れが取れにくくなり、生活習慣病につながる原因にもなります。生活リズムを整えるためには、朝日を浴びることや決まった時間に朝食を取ること、夕食を早めに取ることなどを意識しましょう。夕食が遅くなってしまうときは、1食を2回に分けて食べる分食が効果的です。
スマートフォンやパソコンの画面を見ると、ブルーライトを浴びてしまって、体内時計がずれることになるため、就寝前の90分前には見るのをやめておきましょう。
適度な運動をすること
適度な運動をすると、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が増えるため、心身を安定させるのに役立ちます。運動をすることで深い睡眠を取れるようにもなるので、週に2~3回、20分ほどのウォーキングをすると良いでしょう。
ジョギングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動もおすすめです。適度に体を動かすことで、全身の血行が改善でき、心身をリフレッシュすることができます。
心の整理をすること
なぜ何もしたくないと思うようになったのか、その原因を改めて考えてみることで、心の整理をすることができます。自分では関係がないと思っていたことでも、やる気をなくす原因になっていることもあります。
人から言われたことや、周りに起こった出来事など、一度振り返ってみることでわかることもあるかもしれません。
誰かに話を聞いてもらうこと
やる気が出ないことについて1人で考えていても、わからないときや考えがまとまらない場合もあります。そんなときは、友人や家族など話しやすい人に相談をしてみることも対処法の1つです。
考えていたことを言葉にすることで捉え方が変わることがありますし、自分にとってストレスではないと感じていたことが、第三者からするととてもハードなことだと気づけることもあるでしょう。
カウンセラーに相談するのもおすすめ
いくら親しい間柄といえども、親しいからこそ打ち明けにくいこともあるものです。そんなときは、カウンセリングを利用すると良いでしょう。
家族や友人の立場からは言いにくいことを打ち明けられると、心身ともに軽くなり、悩みやストレスから解放されるきっかけになるかもしれません。
「こころケア」では、スマホとインターネット環境があり、プライバシーが守られ安心して話せる場所であれば、どこからでもオンラインで気軽にカウンセリングを受けることができます。医療機関での臨床経験があるカウンセラーや、複数のカウンセラーから相談相手を選ぶことができますので、困ったときには気軽に利用してみてくださいね。
何もしたくない感情が長く続いたときは
しっかりと休んだにも関わらず、ほぼ毎日2週間以上、何もしたくない感情が続く場合は、うつ病の可能性があります。うつ病になると、何をするにも気持ちが沈んで億劫になり、食事や睡眠が取りづらく、倦怠感などの身体症状も起こります。
治療のためには、精神科で診てもらって医師による治療を受けましょう。うつ病の治療は短くても3ヵ月ほどがかかることが予想されます。症状に症状の改善や悪化に一喜一憂せずに、治療に取り組むことが大切です。
まとめ
何もしたくないときの原因や対処法について説明しました。無気力になっているときは、心身ともに疲れていることが考えられます。対処法には疲れた心や、体を癒すためにしっかりと休むことや、自分の状態を整えることが大切です。
自分の状態を信頼できる人に話すことで、より客観的に状況を理解することができます。親しい人に相談しづらい方は、「こころケア」のオンラインカウンセリングで悩みやストレスを打ち明けてみてはいかがでしょうか。
無気力であることに悩む方は、普段から真面目な方が多い傾向にあります。自分の気持ちを吐き出すことが心身のリラックスにつながりますので、今の状態に悩む方はお気軽にご連絡くださいませ。
記事監修
公認心理師 櫻井 良平
国家資格
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- キャリアコンサルタント
- 社会福祉士
- 保育士
所属学会等
- 日本認知療法・認知行動療法学会
- 日本発達障害支援システム学会
(第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
- 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
- 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
- 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
- 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
(開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)