コラム

「繊細過ぎて生きづらい」

「HSPの可能性があるけど治るのかな」

「HSPの気質がどんなものか知りたい」

このような気持ちを抱えていませんか。

HSPは病気ではなく、生まれ持った気質とも考えられており、一生付き合う必要があります。また、HSPは4タイプあり、それぞれの特徴を把握することが重要です。

今回は、HSPの特徴や生きづらさの軽減方法を解説します。生活や職場で気をつけることも紹介しているため、実生活の参考にしてみてください。

HSP（ハイリー・センシティブ・パーソン）とは

HSPとは、「Highly Sensitive Person（ハイリー・センシティブ・パーソン）」の略で、直訳すると「とても敏感な人」となり、そのような人をあらわす概念です。

1996年にアメリカの臨床心理学者であるエレイン・アーロン博士が提唱したもので、人口の約15～20％（5人に1人）の割合でいることがわかっています。

HSPは病気ではなく「気質」

HSPは、病気や環境によるものではなく生まれもった気質あるため、HSPを「治療する」という考え方はありません。しかし、HSPの気質があることで、なりやすい病気はあります。

たとえば、自己肯定感が低く、他人に共感しやすい特徴から、うつ病になりやすい傾向にあります。仕事でさまざまな人と交流したり、人一倍気を遣ったりするため、うつ病に気を付けることが必要です。

HSPの種類

HSPは、以下の４つの種類に分けられます。それぞれの種類を具体的に説明します。

HSS型HSPとは

HSS型HSPは、HSSとHSPの特徴をあわせもった方を指します。HSSとは「High Sensation Seeking（ハイ・センセーション・シーキング）」の略で、「刺激探求型」と呼ばれいます。

好奇心旺盛で刺激を求めるHSSと、敏感さと直観力があるHSPの要素を加えたのが、HSS型HSPです。HSSとは、心理学者のマービン・ズッカーマンが提唱した概念で「強い刺激を求める人」のことで、HSPとは正反対の概念といわれています。

HSEとは

HSEとは、「Highly Sensitive Extrovert（ハイリー・センシティブ・エクストロバート）」の略で、アーロン博士と活動していたジャクリーン・スティックランド氏によって提唱されました。

HSPは内向的で、HSEは外向的という違いがあるため、日本では「外向型HSP」とも呼ばれています。

HSS型HSEとは

HSS型HSEとは、繊細さと外向的な気質に加えて、刺激を求める要素が加わった方を指します。リーダーシップをとるのが得意で、行動力があることが特徴です。

HSPに比べて人との接触が多くなる場合があるため、疲れやすくなることもあります。

HSPの人の4つの特徴

HSPには、4つの特徴があります。

HSPの特徴は、その頭文字をとってDOES（ダズ）と呼ばれています。詳細は、以下のとおりです。

HSPの特徴

HSPの方は、物事を深くまで考え、共感力が高い方が多い傾向にあります。また、小さな変化や刺激に敏感で、私生活や仕事に影響が出る可能性があるため、生きづらさを抱えている人も多くいます。

しかし、特徴を活かすことで、危機管理能力や気配りの高さにもつながるでしょう。

Depth of processing（物事を深く処理する）

HSPの方は、物事を深く処理することが特徴で、考える時間が長すぎてしまい、行動に移せない傾向にあります。困りごとの例は、以下のとおりです。

困りごとの例

• 同時に複数のことをこなすのが苦手

• 些細な一言をずっと気にする

• メールの返信に時間がかかる

• 考えすぎと言われてしまう

• 物事を始めるまでに時間がかかる

深く物事を考えることで本質を見極められますが、貴重なチャンスを逃しやすいことがあります。

Overstimulated（刺激を過剰に受けやすい）

HSPは刺激を過激に受けやすく、人数が多いと受け取る情報量も増えてしまうため、処理しきれない傾向にあります。ほかにも、以下のような困りごとがあります。

困りごとの例

• 車のクラクションに過剰に反応する

• ネガティブニュースを見ただけでも疲れてしまう

• 会話の時に相手の表情や口調が気になる

• 人混みをテレビで見ただけでも疲れる

• 感動する作品をみると周囲が驚くぐらい号泣する

人より多くの刺激を受けやすいため、ひとりになると疲労感が強くなり、どっと疲れが出てしまう方もいるでしょう。

Emotional reactivity and high Empathy（感情的な反応と共感力が強い）

HSPの方は、相手の感情的な反応を察知する能力と共感力が高い方が多くいます。

困りごとの例

• 緊張してる人の近くにいると、自分も緊張する

• 他人に迷惑をかける人に対して憤りを感じ続ける

• 人間関係が悪いとつらくなる

• 映画の主人公が泣いていると、自分も泣く

• 他人が怒られていると自分も委縮する

相手の感情に寄り添えることは、HSPの強みです。しかし、度を越えてしまうと自分の心身に影響が出てしまうため注意が必要です。

Sensitivity to Subtleties（些細な刺激を察知しやすい）

五感が強く、些細な刺激を察知しやすいです。電子機器の点滅が気になったり、強い光に敏感で不快に感じたりすることがあるでしょう。

困りごとの例

• 明るい部屋で眠れない

• 些細な音で目が覚める

• 人の体臭・口臭に敏感

• 時計の秒針の音が気になる

• 薬が効きすぎて合わないものがある

感覚器官が優れているからではなく、あらゆる刺激を受け取ってしまうため、細かい点に気づきやすい傾向です。

HSPは性別による違いはあるか

HSPは、性別による違いはありません。人種や性別、年齢に関係なく、どの国民にも約20％が、HSP気質があるといわれています。

また、人間だけではなく、犬や馬など100種類以上の動物にも同じ気質が見られます。

HSPの診断方法・セルフチェックリスト

HSPは病気ではなく気質であるため、明確な診断基準はありません。しかし、HSPかどうかを確かめるには、特徴がどれほど当てはまるかで判断することができます。

以下のセルフチェックリストを活用して、確認してみましょう。

HSPのセルフチェックリスト

• 同時に複数のことをこなすのが苦手

• 些細な一言をずっと気にする

• メールの返信に時間がかかる

• 考えすぎと言われてしまう

• 物事を始めるまでに時間がかかる

• 車のクラクションに過剰に反応する

• ネガティブニュースを見ただけでも疲れてしまう

• 会話の時に相手の表情や口調が気になる

• 人混みをテレビで見ただけでも疲れる

• 感動する作品をみると周囲が驚くぐらい号泣する

• 緊張している人の近くにいると、自分も緊張する

• 他人に迷惑をかける人に対して憤りを感じ続ける

• 人間関係が悪いとつらくなる

• 映画の主人公が泣いていると、自分も泣く

• 他人が怒られていると自分も委縮する

• 明るい部屋で眠れない

• 些細な音で目が覚める

• 人の体臭・口臭に敏感

• 時計の秒針の音が気になる

• 薬が効きすぎて合わないものがある

今回挙げた項目は、あくまでも一例です。あてはまる項目が多いほど、HSP気質の傾向が高くなります。

HSPの人の生きづらさを軽減する方法

HSPは生まれ持った気質であるため、一生付き合っていく必要があります。しかし、気質による「生きづらさ」「疲れやすさ」は、工夫次第で軽減できます。

相手の気持ちを言葉で確かめたり、心の拠りどころを探したりするとよいでしょう。軽減する方法の詳細は、以下のとおりです。

相手の気持ちを言葉で確かめる

HSPの方は、相手の表情や仕草でどのような気持ちかを察する能力があります。たとえば、相手の機嫌が悪いと、自分が萎縮してしまうことがあるかもしれません。

しかし、相手の気持ちがどうなのかを言葉で確かめることで、こちらが必要以上に考える必要がなくなります。相手との関係性によりますが、可能な限り相手の気持ちを聞いて確かめてみましょう。

やることをリストにして一つずつ処理する

作業のときに混乱しないためには、やることをすべてリスト化しておくことが重要です。HSPの方は、物事を一つずつ丁寧に処理するため、複数のことを同時にこなすのが苦手な傾向にあります。

まとめてではなく、一つずつ処理していくことで、ミスにつながりにくくなります。すぐに終わる作業であってもリストに入れておくことで作業漏れが防げるため、ぜひ試してみましょう。

イヤホンや色付き眼鏡で刺激を和らげる

HSPの気質のひとつとして、五感が強く、刺激に敏感なところがあります。音や光に敏感な場合は、刺激を和らげるために、日ごろから対策が必要です。対策例は、以下のとおりです。

• 音が大きすぎると感じたら、ノイズキャンセリングイヤホンをする

• 車のヘッドライトや蛍光灯がまぶしいときは、色付き眼鏡をかける

• 洋服のタグが気になるのであれば、カットしておく

刺激を和らげるためのアイテムを活用しながら、自分なりに工夫をしてみましょう。

SNSの利用をできるだけ制限する

HSPの方は、共感性が高い傾向にあるため、SNSの利用をできるだけ制限する工夫が必要です。

たとえば、ネガティブニュースなどが流れてくるSNSを見ると、自分に直接関係なくても気持ちが落ち込む可能性が高くなります。また、自分にとって不快になる情報を見ると、落ち込んだ気持ちが持続する場合があるため、SNSを利用する時間を制限するようにしましょう。

心の拠りどころになる場所を作る

心の拠りどころになる場所を作ることで、生きづらさや疲れやすさの軽減につながります。具体的な場所は、以下のとおりです。

• 海などの自然

• 行きつけのカフェ

• 図書館などの静かな場所

居場所を作ろうと意気込まず、「自分にとって楽しいことを続けて、居場所にしていく」と意識してみましょう。心の拠りどころだけでは不安な方は、カウンセリングなど相談できる機会を作ることもおすすめです。

HSPの人が職場や生活の中で気をつけること

HSPの方が、職場や生活の中で気をつけることは、自身の気質を隠す必要はありませんが、HSPだからといって周囲に頼りすぎないことが重要です。頼る前に、耳栓などのアイテムを使うなど、自分で対処できそうなことを取り組んでいきましょう。

HSPではない方にとっては、HSPの方とどう接したらよいかわからないと感じる場合があります。もし職場や生活の中で配慮してほしいことがある場合は、どのような気質があるのか、配慮してほしいことを具体的に伝えるとよいでしょう。

HSPによるお悩み相談はオンラインカウンセリングもおすすめ

HSPによる生きづらさは、心の拠りどころをつくることで和らげられます。心の拠りどころの一つとして、定期的にカウンセリングを受けるのもおすすめです。その際、対面カウンセリングより、オンラインカウンセリングを選ぶとよいでしょう。オンラインカウンセリングを利用するメリットは、以下のとおりです。

オンラインカウンセリングのメリット

• 落ち着ける自宅で相談できる

• 相性の良いカウンセラーが見つかりやすい

• 対面カウンセリングに比べて安い

つらいと感じたときにその場ですぐ対応しやすいのが、オンラインカウンセリングの魅力です。

「こころケア」では、オンラインでカウンセリングを行っており、プライバシーが守られ安心して話せる場所であれば、どこからでもカウンセリングを受けられます。インターネット環境があれば気軽に相談できるため、ぜひ「こころケア」のご利用をご検討ください。

まとめ

今回は、HSPの特徴と生きづらさを軽減する方法を紹介しました。HSPの気質は生きづらさだけではなく、人に寄り添うための強みとして活かせます。

気質による症状がつらい場合は、自分なりの対処法を身につけておくとよいでしょう。ひとりで考えるのが大変なときは、オンラインカウンセリングを受ける方法があります。

「こころケア」では、つらくなったときすぐに相談できます。悩みを抱え込まずに、気持ちを話す場所として検討してみてください。