虚無感とは?虚無感に襲われる原因や症状、解消法を解説
「なんだかやる気が出ない」「無気力で何もしたくない」といった感覚に陥ったことがある人もいるのではないでしょうか。このような感情は、虚無感が原因かもしれません。虚無感はストレスや挫折など、さまざまな要因がきっかけで引き起こされます。なかには毎日虚無感に襲われ、日常生活がままならない人もいることでしょう。
本記事では、虚無感の症状や虚無感に襲われる原因、また対処法についても解説します。虚無感にお悩みの方は参考にしてください。
虚無感とは
虚無感とは、人生やこの世のすべての物事に対して虚しさを感じる状態のことです。たとえば人生の目標や大切な人を失ったとき、今まで頑張ってきたことを成し遂げられなかったときなど、人は虚しさや失望を感じてしまうことが多いでしょう。「今後どうしたらよいかわからない」と投げやりになり、何もやる気が出ない状態に陥ることを虚無感といいます。
虚無感と空虚感の違い
虚無感と同じような言葉に「空虚感」があります。どちらも虚しさを感じる点は同じですが、ニュアンスに微妙な違いがあります。
虚無感は、存在そのものが感じられず虚しくなる状態のこと。一方で空虚感は、存在しているものごとに対して、何かが欠けてしまい、虚しい状態のことをいいます。同じ虚しさを感じる表現ですが、虚無感の方がより虚しさの度合いが大きいといえるでしょう。
うつ病との違い
うつ病は、気分の沈み込みや、やる気が出ず無気力になる精神障害の一種です。こういった感情とともに食欲の減退や、不眠などの身体的な症状が現れるのも特徴です。うつ病はストレスなどがきっかけで、脳の働きが上手くいかない状態です。虚無感とうつ病の明確な違いはありませんが、うつ病の症状の中には「虚しさを感じる」といった虚無感も含まれます。
また虚無感と思っていたものが、実際はうつ病などの精神障害の症状だった場合もあります。心身が疲れている状態が続くと、虚無感の症状が強く出てしまうだけでなく精神障害を引き起こす可能性もあるので、無理せず心や体を休めましょう。
虚無感に襲われるとどうなる?症状について解説
虚無感に襲われると以下のような自覚症状が現れます。
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つらさを感じる
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やる気が起こらず、無気力になる
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孤独を感じる
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今まで楽しめていたことが楽しめない
虚しさを抱えることにより、連鎖的にやる気の低下や疎外感、無気力などを引き起こしてしまいます。ここからは虚無感の症状について具体的に見ていきましょう。
つらさを感じる
虚無感に襲われると、何に対しても充実感を得られなくなり、次第にやる気も失われてしまいます。今までしてきたことも無意味に思えてしまい、アンバランスな精神状態に。そうなると、日常の生活ですら「生きづらい」と感じてしまうのです。生きていることにも疲れ、不安でつらい状態が続いてしまいます。
やる気が起きず、無気力になる
虚無感が強いほど、物事に対する価値や意味を感じられなくなります。頑張ったとしても達成感を得られず、やがて頑張ること自体に疲れ、やる気やモチベーションの低下につながってしまいます。このような状態に陥ってしまうと、何に対しても無気力になり、何かを始めたいと思うことすら難しい状態に。
孤独を感じる
孤独を感じてしまうのも、虚無感の症状の一つ。具体的には、友人と話している時も無駄な話に思えたり、合わないと感じたりしてしまいます。しかしそのことを友人に伝えられず、自分で解決しようとするので、余計に苦しく孤独を感じてしまいます。逆にひとりでいるときは、一人になってしまった自分に対し、孤独を感じるという悪循環に陥ってしまうのです。
今まで楽しめていたことが楽しめない
虚無感に襲われ、人生に意味や価値を見出せなくなると、すべてが無駄に思えてしまい、毎日の生活も楽しめなくなってしまうこともあります。また生活だけでなく、趣味や嗜好などこれまで楽しめていたことにも、影響を与えてしまうでしょう。特にしたいことも見つからず、どのように生活していっていいのか迷ってしまうことも考えられます。
虚無感に襲われる原因
虚無感に襲われる原因には、以下のようなことが考えられます。
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生きがいや目標を失ってしまった
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信用していた人に裏切られた
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失恋や離婚をした
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理想と現実のギャップに気づいてしまった
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大切な人を失くした
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自分に自信が持てなくなった
今まで心の支えとなっていたものや人などを失ったり、自分の存在意義を見出せなくなったりすると、虚無感に襲われてしまうようです。それぞれの原因について詳しく探ってみます。
生きがいや目標を失ってしまった
それまで生きがいや人生の目標にしていたことが、失われてしまうことがきっかけで、虚無感に襲われてしまうことがあります。その生きがいや目標が大きいほど、虚無感の度合いも強くなる傾向に。
具体例でいうと、「大好きな芸能人が引退してしまった」や「目標にしていたことができなくなり、挫折してしまった」などが挙げられます。いわゆる“ロス”の状態になってしまい、だんだんと活力が奪われてしまうのです。
信用していた人に裏切られた
信用していた人の裏切りは、精神的なダメージが大きく、虚無感を引き起こす要因になってしまいます。裏切られることで誰も信じられなくなり、人と関わることすら億劫に感じてしまうほどに。人との交流を避けるようになると、さらに孤独を感じ虚無感につながってしまいます。
失恋や離婚をした
失恋やパートナーとの別れは、心の拠り所を失ってしまうことで喪失感が生じてしまいます。お互い納得した上での別れであれば、虚無感に襲われる可能性は少ないでしょう。しかし、突然終わりを告げられる、離婚理由が意図しないものである場合などは、虚無感に襲われやすくなります。また、とくに相手に依存しやすい人は、虚無感が強くなる傾向にあります。
理想と現実のギャップに気づいてしまった
夢や目標に向かって進んでいても、壁にぶつかってしまうことがあります。そういった理想と現実のギャップに気づいてしまったとき、自分の無力さを感じ、虚無感に陥ってしまうケースも。そのギャップが大きければ大きいほど、虚無感も強くなってしまいます。
大切な人を失くした
死別や別れなどで、突如大切な人を失う悲しみは計り知れません。今まで当たり前に、自分の側にいてくれた心の支えを失うことで、大きな喪失感に見舞われてしまうでしょう。時間が癒してくれるとはいえ、しばらくの間は何をしてもつらく、「何をしても意味がない」と、虚無感に襲われやすくなってしまいます。
自分に自信が持てなくなった
仕事でのミスやうまくいかないことが続くと、徐々に自分に自信を持てなくなってしまいます。また、自信を持ってやり遂げたはずの出来事が、満足のいく結果を得られなかった場合も同様です。自信を失うことはやる気の低下にもつながり、虚無感が生まれてしまう要因にもなります。
虚無感に襲われやすい人の特徴
虚無感に襲われやすい人の特徴には、以下のようなものがあります。
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真面目な性格の人
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感受性が強い人
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依存しやすい人
誰しもふとしたことがきっかけで、ある日急に襲われてしまう虚無感。しかし、真面目で責任感が強い、人に影響されやすい、依存しやすい人などといったタイプの人は、特に虚無感に襲われやすい傾向にあります。特徴や対処法について見ていきましょう。
真面目な性格の人
真面目で責任感が強い人は、人に頼らず努力家な反面、大きなストレスを抱え込んでしまう特徴があります。ストレスは自律神経にも悪影響を与え、気分の落ち込みや疲れを引き起こしてしまうことも。そんな状態が続くと、やがて虚無感へと発展してしまう可能性もあります。できるだけ一人で抱え込まず、無理をしないことを心がけましょう。
感受性が強い人
感受性が強い人は、人の言動や行動に影響されがちです。現代社会ではSNSなどの普及により、さまざまな情報が目につきやすく、ネガティブに捉えてしまうものもあるでしょう。ネガティブな感情は、時に虚無感に襲われるきっかけになってしまいます。外部から受ける刺激を何でもネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに捉えることで虚無感に襲われるリスクも低くなるでしょう。
依存しやすい人
人に依存しやすい人も、虚無感に襲われないよう注意が必要です。誰かに依存する傾向が強い人は、基本的に一人でいることに寂しさを感じやすく、常に誰かといることを求めます。特に恋愛において恋人に依存心が強い人ほど、別れた時にその反動で虚無感に襲われやすくなります。そのような人は、一人の時間を楽しめる趣味などを見つけても良いかもしれません。
虚無感を解消する方法
虚無感を解消するために以下のような方法を実践してみましょう。
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自分が好きなことを楽しむ
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虚無感としっかり向き合う
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ゆっくり休む
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外に出て太陽の光を浴びる
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心許せる友人と会う
無理をせずのんびりと過ごすことは、虚無感を解消するのにも効果があります。ストレスを減らし、規則正しい生活を送れば、自然と虚無感に襲われることも少なくなるでしょう。解消するための方法について具体的に紹介します。
自分が好きなことを楽しむ
好きな音楽を聴く、好きなものを食べる、趣味を楽しむなど、とにかく自分の好きなことを楽しみましょう。有意義な時間を過ごし、虚しさを感じないようにすることも大事です。
虚無感としっかり向き合う
虚無感を我慢したり、そのまま放置したりすることは、かえって逆効果になる場合もあります。あえて我慢せず虚無感と向き合うことで、自分が虚無感に襲われる原因に気付けるでしょう。
ゆっくり休む
虚無感に襲われる時は、無理や焦りは禁物です。心身ともに疲れている状態ですので、しっかりと寝て脳と体を休めましょう。家でのんびりと過ごし、気持ちを落ち着かせることも効果的です。
外に出て太陽の光を浴びる
日光浴で脳内のセロトニンを増やしましょう。セロトニンには、精神を安定させる効果があるといわれており、別名「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質の一つです。太陽の光を浴びながら体を動かして、気分をリフレッシュさせましょう。
心許せる友人と会う
一人で家に閉じこもっていると、マイナス思考になりやすいため、さらに虚しさを感じやすくなってしまいます。なるべく一人にならず、気心の知れた友人と会い、話をするだけでも気分転換になるでしょう。人との交流は、自分の存在意義を高める効果もあります。
虚無感で悩んだときはオンラインカウンセリングに相談してみよう
虚無感に悩んだ時は、カウンセラーに相談してみるのも一つの方法です。虚無感を放置しておくと、うつ病などの精神障害に発展してしまう可能性も。虚無感が思うように解消されない、虚無感がつらいなどと悩んでいる方は、自宅で受けられるオンラインカウセリングを活用してみましょう。
オンラインカウセリングのメリット
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自宅にいながら手軽にカウンセリングを受けられる
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症状によっては外に出るのが困難な方でも、リラックスして相談できる
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複数のカウンセラーから自分に合った人を選べる
「こころケア」には、医療機関での臨床経験もあるカウンセラーも在籍しておりますので、安心してご相談ください。
まとめ
虚無感に襲われると、無気力や喪失感など見た目ではわからないさまざまな症状に悩まされてしまいます。原因や対処法をしっかりと理解して実践すれば、虚無感をうまく抑えられるかもしれません。もし虚無感に襲われてつらいときは、一人で抱え込まず周りの人に相談してみましょう。
記事監修
公認心理師 櫻井 良平
国家資格
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- キャリアコンサルタント
- 社会福祉士
- 保育士
所属学会等
- 日本認知療法・認知行動療法学会
- 日本発達障害支援システム学会
(第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
- 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
- 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
- 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
- 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
(開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)