コラム

自暴自棄とはどんな状態?自暴自棄になる原因や立ち直る方法について解説

自分自身

職場の人間関係や家事・育児のストレスで、自暴自棄になってしまう人がいます。このような方のなかには、自分自身、なにが原因で自暴自棄になってしまうかわからず、苦しみもがいている人もいるかもしれません。

本記事では、自暴自棄が起こる原因や対処法について解説します。自暴自棄で苦しむ人や解決の糸口を知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

自暴自棄とはどんな状態?

自暴自棄とは、自分で自分のことを粗末に扱うことです。「自分なんてどうなっても構わない」とやけになり、自分を見失う状態を指します。自暴自棄は、人間関係や仕事のストレス、自分に対する失望感や精神疾患などが原因となって生じます。放置すると、現実逃避し始め、将来に希望が見い出せなくなるでしょう。

「現実を見たくない」「お先真っ暗で将来に不安しかない」「自分に自信が持てず、前に進めない」などの心理状況のなか、自暴自棄に陥って苦しむ人がいるのです。

自暴自棄になりやすい人の特徴

自暴自棄は、予期しないタイミングで起こり得るものです。場合によっては、気づかないうちに自暴自棄に陥ることもあるでしょう。自暴自棄になりやすい人の主な特徴としては、以下のことが挙げられます。

  • ネガティブに考える傾向がある

  • 忍耐力があまりない

  • ストレスを上手に発散できない

よく自暴自棄になる人は、普段からネガティブ思考に陥りやすいといえるでしょう。ほかにも、忍耐力があまりなかったり、ストレスを溜め込みやすかったりする傾向もみられます。

ネガティブに考える傾向がある

なにか問題が発生したときに、ネガティブ思考のもと「自分に問題がある」と決めつけてしまう傾向があります。

実際は自分に非がない場合でも、自分を責めすぎ、結果的に物事を否定的・悲観的に捉えがちになり現実逃避の念が生じてしまうのです。自分を追い詰め、やけになるパターンといえるでしょう。

忍耐力があまりない

人には忍耐力というものがありますが、その程度は人によってさまざまです。なかには忍耐力が著しく欠けている人もいます。こういった人は、ときに我慢がきかず、イライラを募らせてしまいがちです。

その結果、ストレスを蓄積して自暴自棄になってしまう可能性があります。周りの人や物に八つ当たりするなど、感情がコントロールできないケースが見受けられます。

ストレスを上手に発散できない

自暴自棄になりやすい人のなかには、ちょっとしたことでもストレスや不安を抱えやすいという特徴が見られるケースもあります。ほかの人は気にならないような、他人の些細な言動や出来事に対して敏感に反応し、疲弊してしまうのです。

こういったことで溜め込んだストレスをうまく発散できないと、自暴自棄につながる原因になります。結果的に職場やプライベートでストレスを暴発させてしまい、人間関係に支障をきたす恐れもあり、注意が必要です。

自暴自棄になるのはなぜ?

自暴自棄になる人のなかには、なぜそうなってしまうのか理由がわからず、苦しみ続ける人もいるかもしれません。そこで、自暴自棄になってしまう人にみられる主な理由を以下の通りまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

  • ストレスの発散がしたい

  • 何も考えたくない

  • 病気の可能性もある

このように、仕事などで溜まったストレスのはけ口が見つからず、自暴自棄になるケースがあります。また、何も考えたくないという理由から無気力になるケースもあるでしょう。そのほか、病気の前兆や症状の可能性もあり、注意が必要です。

ストレスの発散がしたい

ストレス社会といわれる現代では、仕事や職場の人間関係などが原因でストレスが溜まることが多いでしょう。苦しい状況を打破するためにストレスの発散をしようと試みるも、はけ口が見つからず、結果として自暴自棄になるケースがあります。

自暴自棄になって自分を見失うと、かえってストレスが溜まり、負のループに陥ってしまいます。精神面だけでなく体調まで崩してしまうこともあるため要注意です。

何も考えたくない

現実逃避し、「何も考えたくない」と思う気持ちが高まるあまり、自暴自棄になってしまうことがあります。この場合、無気力になって行動できなくなるため、解決の糸口もなかなか見つかりません。その結果、失望感が増え、精神的に疲弊してしまう可能性があるでしょう。

精神的に疲弊すると行動の意欲がさらに奪われ、悪循環から抜け出すことができなくなります。

病気の可能性もある

場合によっては、単なる自暴自棄ではなく、適応障害に陥っている可能性もあります。適応障害とは、不安やイライラが募り、憂鬱感や悲しみに襲われ、職場や学校などの環境に適応できない状態のことを指します。

自暴自棄の場合は一時的に起こることが多く、一定期間経つと改善する可能性が高いですが、適応障害の場合は薬物療法や心理社会的治療などを行わない限り、治療することが困難といわれています。放置すると抑うつの症状や暴飲暴食の行動が出始めたり、めまいや頭痛などを発症したりすることもあるため、早期発見・早期治療が重要です。

適応障害を治療するには、1~6ヵ月程度の期間が必要といわれています。心療内科を定期受診し、カウンセリングを受ける必要があります。また、それ以外には、環境調整を行う必要もあるかもしれません。ストレスの原因となっている職場の環境から逃れるために、部署異動を申し出たり、休職届けを提出したりすることが推奨されるケースもあります。

医師の診断によっては、薬抗うつ剤や抗不安薬などを服用して精神状態を安定させるなど、薬物療法をとる場合もあるでしょう。適切な治療は人によってさまざまなため、まずは医療機関やカウンセリングで相談してみることをおすすめします。

自暴自棄から立ち直る方法

自暴自棄になってしまう人のなかには、対処法がわからず困っているという人も多いでしょう。自暴自棄になったときに立ち直るための具体的な方法は、以下の通りです。

  • 気分転換をしてストレスを発散する

  • 悩みを友人などに聞いてもらう

  • カウンセリングを受けてみる

自暴自棄から立ち直るには、気分転換をしてストレスを発散させることが重要です。また、友人や知人などに悩みを相談することも、気持ちを軽くする効果が期待できます。そのほか、心が苦しいときは、専門のカウンセラーに相談してアドバイスをもらうこともおすすめです。

気分転換をしてストレスを発散する

自暴自棄から立ち直るには気分転換をして、ストレスを発散させることが重要です。たとえば、運動やゲーム、映画鑑賞など、自分が熱中できる趣味を楽しみ、気分転換を図るとよいでしょう。うまく気分転換できれば、ストレスが発散され、自暴自棄から立ち直ることができるかもしれません。

もしストレスの発散方法がわからない場合は、積極的に情報収集し、自分が没頭できる趣味を探してみるのもよいでしょう。時間を忘れて熱中できる趣味が見つかれば、自暴自棄の改善が進むかもしれません。

悩みを友人などに聞いてもらう

「どうせ自分の悩みなんて誰も理解してくれない」と塞ぎ込んでしまうと、いつまでたっても解決の糸口が見つかりません。自暴自棄から立ち直るためには、勇気を出して友人や知人などに悩みを打ち明けるとよいでしょう。悩みを打ち明けることで、気持ちが楽になり、前向きな気持ちに転換できるかもしれません。

まずは1度、誰かに話を聞いてもらう体制を作ることが大切です。相手は、両親や兄弟、親戚や学校の先生など、話しやすい人なら誰でも構いません。自分の話を聞いてくれて、かつ的確なアドバイスをくれそうな人の力を借りてください。

他人の時間を奪うことを億劫に感じる人もいるかもしれませんが、あなたにとって親しいと思える人なら、必ず積極的にあなたの力になってくれるはずです。悲観せず、勇気を出して、人の力を借りてください。行動を変えることで精神も変わり、事態を良い方向にもっていくことができるでしょう。

カウンセリングを受けてみる

カウンセリングとは、カウンセラーが心の悩みを聞き、専門家の立場からサポートや指導を行うことを指します。特に、公認心理師による、認知行動療法などのアプローチが有効となります。

それぞれの状態にどう向き合っていくべきアドバイスがもらえるため、有意義な手段と言えるでしょう。カウンセラーは心に傷を負った人のケアを行えるプロですので、「こんなことを聞いてもいいのかな」と遠慮することなく、疑問に思うことがあればなんでも聞いてください。

対面でのカウンセリングに抵抗を感じる人は、オンラインカウンセリングという方法も選べます。わざわざカウンセラーのもとへ出向かずともカウンセリングが受けられ、また、一定の距離感で対話できるため、初めてカウンセリングを受ける人にとっても安心です。

オンラインカウンセリングには、主に以下のメリットがあります。

  • スケジュールの調整がしやすい

  • 地方や海外在住でも利用しやすい

  • 自宅からリラックスした状態で臨める

自暴自棄や適応障害に悩み、解決の糸口が見つからない人は、積極的にカウンセリングを活用されることをおすすめします。

まとめ

今回は、自暴自棄になってしまう原因や対処法について詳しく解説しました。自暴自棄は自分の心身が疲弊してしまうだけでなく、周囲の人間関係にも影響を及ぼしかねないため、早めに対処することが大切です。

自暴自棄になるのを防いだり、改善したりするためには、ストレスの発散や周囲に話を聞いてもらうことが有効な手段といえるでしょう。また、こういった悩みの相談先として、カウンセリングもおすすめです。

カウンセリングをどこで受けるか悩む人には、オンラインカウンセリングの「こころケア」をおすすめします。「こころケア」では、悩みの内容に合った専門のカウンセラーが話を聞いてくれるため、安心して利用できるでしょう。インターネット環境があり、プライバシーが守られ安心して話せる場所であれば、どこからでもカウンセリングが受けられるため、多忙で時間を割きにくい方もぜひご検討ください。

 

記事監修

公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • キャリアコンサルタント
  • 社会福祉士
  • 保育士
所属学会等
  • 日本認知療法・認知行動療法学会
  • 日本発達障害支援システム学会
    (第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
  • 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
  • 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  • 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  • 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
    (開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)