コラム

すぐ泣いてしまうのはなぜ?対処法やうつ病・HSPの可能性について解説

メンタルヘルス

普段生活していて「すぐに泣いてしまう」という悩みを抱える人は意外と多いです。すぐに泣いてしまうのは決して悪いことではありませんが、生活に支障が出るようだと、何より自分自身がさらにつらい思いをしてしまうかもしれません。

今回はすぐに泣いてしまう人の特徴や考えられる原因、泣いてしまいそうになったときの対処法を解説します。

すぐ泣いてしまうのは悪いことではない

職場など緊張感のある場所で涙が堪えきれなくなったという経験は、多くの人にあるでしょう。

前提として、大人が泣いてはいけないというルールはなく、決して悪いことではありません。泣くことで副交感神経が働き、心の緊張が解き放たれることでリラックス効果も期待できます。

ただ、問題なのは、泣いてしまった自分を自分で責めてしまうことです。涙もろく、職場で何度も泣いてしまったことがある人は、そこで働いていく自信さえ失くしてしまうかもしれません。

すぐ泣いてしまう人の特徴  

すぐに泣いてしまう人の特徴は、以下の3つが挙げられます。

【すぐ泣いてしまう人の特徴】

  • 感動しやすい人

  • 自分の気持ちを正直に伝えるのが苦手な人

  • 想像力・共感力が高い人

感受性が豊かな人や、HSP気質の人は、すぐ泣いてしまう傾向があります。

感動しやすい人

すぐに泣いてしまう人の特徴は、感動しやすいことです。何事に対しても感受性が強く、美しい作品に触れるなどして感情が揺さぶられると、涙が出てしまうことがあります。

また、年齢を重ねて涙もろくなったという人は、経験を積み上げてきたことで想像力が高まった場合や、ホルモンバランスが影響している場合も考えられるでしょう。

自分の気持ちを正直に伝えるのが苦手な人

自分の気持ちを正直に伝えるのが苦手な人は、すぐに泣いてしまう傾向があります。このような人は聞き手にまわることが多いため、自分自身の気持ちをひとりで抱えてしまいがちです。

もし自分の気持ちを伝えたいのにできないと悩んでいる人は、利害関係にない人を相手に練習することをおすすめします。家族や友人を相手にしたり、カウンセリングサービスを利用したりするのもいいでしょう。自分の気持ちを伝えることに慣れることで、気持ちを抱え込まず、涙をコントロールできるようになるかもしれません。

想像力・共感力が高い人

想像力や共感力が高い人は、すぐに泣いてしまう傾向があります。

特に共感力が高いHSP気質の人は、「繊細さん」とも呼ばれるように相手の心情に感情移入しやすく、話を聞いただけで自分が同じような経験をした気分になって、泣いてしまうことがあるでしょう。

すぐ泣いてしまうのを直したい場合の対処法 

ここからは、すぐに泣いてしまうのを治したい場合の対処法を紹介します。

繰り返しになりますが、泣くことは本来悪いことではなく、リラックス効果も期待できることから我慢する必要もありません。それでも、すぐに泣いてしまうことで日常生活に支障が出ている人にとって、何とか改善したいと考えるのは当然です。

以下、具体的な対処法を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

【すぐ泣いてしまうのを直したい人の対処法】

  • 呼吸法を実践する

  • 気持ちを人に伝える

  • 気持ちをノートに書きだす

呼吸法や、ノートへの気持ちの書き出しなど、日常生活で実践できるものばかりです。すべて試すのもいいですし、自分ができると思うものから気軽に始めてみるのもいいでしょう。

呼吸法を実践する

すぐに泣いてしまわないよう気持ちを落ち着かせる呼吸法は、以下の手順で行います。

  1. 腹部から息を吐ききる

  2. 鼻からゆっくり息を吸い込む(※腹部が膨らむことを意識する)

  3. 少し息を止め、細く長くゆっくりと口から息を吐く(※3~5分ほど行う)

口から息を吐くときは、吐く息に意識を向けることが重要です。まずは座って背筋を伸ばした状態で行いましょう。慣れてきら、立ったままでもできるよう練習してみてください。

気持ちを人に伝える

泣きたくなったときは、その気持ちを誰かに伝えてみましょう。信頼できる人に気持ちを話してみることで気持ちの整理ができ、心が落ち着くため涙がおさえられます。

気持ちを伝える相手が身近にいない場合は、オンラインカウンセリングの利用もおすすめです。

「こころケア」では、スマホとインターネット環境があり、プライバシーが守られ安心して話せる場所であれば、どこからでも利用いただけます。豊富な経験を有するカウンセラーが一人ひとりの悩みに真摯に向き合い、専門的なサポートを提供してくれます。

ありのままの気持ちを伝えられる場所として、こころケアの利用をぜひご検討ください。

気持ちをノートに書き出す

気持ちを伝える相手がすぐにいない場合は、その日の感情をその日のうちにノートに書き出すのもおすすめです。人に伝えるのと同じように、気持ちを整理できます。

物事への悩み、もやもやした感情は、毎日際限なくわき出てくるため、頭の中だけで解決しようとするとキャパシティーを超えて、かえってストレスがたまってしまいます。

そのような事態を避けるために、まずは躊躇せず気持ちをノートなどに書き出してみてください。頭の中に溜まった気持ちを文字にして可視化することで、何に悩んでいるか明確になり、気持ちも軽くなるでしょう。

すぐ泣いてしまう原因は病気にある? 

すぐに泣いてしまう原因のひとつとして、うつ病の可能性も考えられます。

うつ病の初期症状は自分では気づきにくく、誰にも相談できず一人で悩んでしまうケースがよくあります。症状が進行すると精神的ストレスで脳内のホルモンバランスが乱れ、落ち込んだ状態が続き、身体症状としても現れます。

改善するには早めに医療機関を受診することが大切です。

うつ病の初期症状 

うつ病の初期症状のひとつとして、情緒が不安定になり、涙もろくなることがあります。すぐに泣いてしまう状況が頻回に起こるようであれば、うつ病の可能性があるでしょう。

以下の初期症状にあてはまるようであれば、医療機関の受診を検討し、適切な治療を受けてください。

【うつ病の初期症状】

  • 涙もろくなる

  • 気分が落ち込む

  • 食欲不振

うつ病の症状については以下の記事でも解説しているため、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

関連記事:うつ病とは?症状や要因のほか、うつ病の治し方について解説

うつ病は適切な治療で治せる!

うつ病は、適切に治療を受けることで改善できます。具体的な治療方法は「薬物療法」と「認知行動療法」で、内容は以下のとおりです。

治療法 概要
薬物治療

抗うつ薬を中心に処方される。

うつ病は「機能性疾患」といって、体の機能の一部が正常に動かないことが原因で起こる精神疾患のため、崩れた機能を調整することで症状が改善される。

服薬期間は長くなり、症状がよくなっても自己判断で服薬をやめないように注意が必要。

認知行動療法

「物事や現実の受け取り方」や「ものの見方」を認知と呼ぶ。

認知行動療法とは、認知に働きかけて心のストレスを軽くしていく治療法。

うつ病の場合「ミスをしてはいけない」など、自分を追い詰める考え方の癖を持つ傾向にあるため、受け取り方を変える練習をする。

認知行動療法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

関連記事:認知行動療法とは?具体的なやり方や受ける前に知っておきたいことを解説

 

すぐ泣いてしまう・涙もろい人はHSPの可能性も 

すぐ泣いてしまう・涙もろい人は、HSPの可能性があります。HSPは病気ではなく、その人が持って生まれた個性や気質ですので、決して改善しなければいけないものではありません。HSPは「改善」ではなく、その特性と「上手く付き合っていくこと」が大切です。

HSPとは

HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、90年代後半にアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念のことです。直訳すると「とても敏感な人」を意味しますが、病名でも診断名でもなく、生まれ持った気質を指します。HSPの人は人口の5人に1人はいると言われています。

HSPが注目されている背景には、情報にあふれている現代にストレスを感じ、過敏になり、生きづらさを感じる人が多くなっていることが挙げられます。日常生活で受け取る情報や刺激に対して過敏になり、ストレスがたまることで、すぐに泣いてしまうことが考えられます。

HSPについては以下の記事でも解説しているため、興味のある方はご覧になってみてください。

関連記事:HSPとは?4つの特徴や診断方法・生きづらさを軽減するためのポイントを解説

HSPは治せる?

HSPは病気として治すものではなく、その人が持って生まれた個性のひとつです。したがって、どのように自分と向き合えば生活しやすくなるかを考えることが大切です。

自分との向き合い方が分からず、つらいと感じる場合は、カウンセリングを受けてみてもよいでしょう。仕事など忙しくて時間が取れない、または外出するのが億劫だという人には、オンラインカウンセリングという選択肢もあります。インターネット接続ができる環境さえあればどこでも気軽に利用できます。

泣いてしまうことなく自分の気持ちを話せるようになりたい、気持ちを整理できるようになりたいという方は、オンラインカウンセリングも含めたカウンセリングサービスの利用をぜひご検討ください。

まとめ 

すぐに泣いてしまうのは、悪いことではありません。しかし、日常生活で支障が出ているようであれば、人に自分の気持ちを伝える練習をしたり、ノートに書き出してみたり、自分なりの対策を考えてみてもいいでしょう。

もし泣いてしまうことで自分を責めて、今まさにつらい思いをしているのなら、専門家によるカウンセリングを受けることも検討してみてください。「こころケア」のオンラインカウンセリングは、専門知識を備えたカウンセラーが一人ひとりの悩みに丁寧かつ的確なアドバイスをくれるため、新しい気付きを得られることでしょう。

気持ちを伝える練習の相手が欲しい人も、すぐ泣いてしまう自分との上手な付き合い方を身につけたい人も、ぜひお気軽にこころケアをご活用ください。

 

記事監修

公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • キャリアコンサルタント
  • 社会福祉士
  • 保育士
所属学会等
  • 日本公認心理師協会
  • 本公認心理師学会
  • 日本認知療法・認知行動療法学会
  • 日本発達障害支援システム学会
    (第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
  • 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
  • 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  • 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  • 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
    (開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)