コラム

カウンセリングとは?目的や方法、必要な人の特徴をわかりやすく解説

カウンセリング

悩みや不安を感じたときには、カウンセリングを活用することがおすすめです。カウンセラーは、相談者の意見を否定したりアドバイスしたりすることはありませんが、悩みを受け止めて問題解決へのサポートを行ってくれます。

本記事では、カウンセリングの目的や効果について解説します。カウンセリング方法や料金についても触れるので、一人で悩みを抱えている方はぜひ参考にしてみてください。

カウンセリングとは

カウンセリングとは、医師や専門家が苦しみを抱えている人の悩みを聞き、問題解決に向けて援助を行うことです。話をまとめるだけのカウンセリングもあれば、具体的な指示を出すことあります。人によって問題が解決する糸口はさまざまなため、カウンセリングの内容や時間も異なります。

ただし、カウンセリングを受けるということは専門家などから答えをもらうことではありません。問題を解決するには、自分自身の力で立ち直ることが大切だからです。カウンセリングは、あくまでも本人の気持ちや考えを整理するためのきっかけとして行うものです。カウンセラーは問題点を整理するなどで、悩む人のサポートを行うのが役割です。

カウンセリングとセラピーの違い

カウンセリングとセラピーは似ているようで異なります。カウンセリングは、「聞く」ことが中心で、カウンセラーが積極的に意見を述べることはしません。アメリカの臨床心理学者ロジャーズは、「カウンセリングとは本人が持っている治癒力を引き出すための手段である」と言い、相談者を主体として、本人の「気づき」を促すことで問題解決を目指しているのです。

一方、セラピーは、セラピストがゴールに向けて具体的な解決策を提示してくれます。能動的なサポートを行うのが、セラピーです。場合によっては身体を動かしたり、五感に働きかけたりすることで、問題の解決へ導くこともあります。

カウンセリングの目的

カウンセリングの目的は、相談者のストレスを和らげ、問題解決へのサポートを行うことです。場合によってはこの限りではありませんが、一般的には悩みを抱える人が問題解決のために何らかの糸口を見つけるために行われます。そのために必要なのが対話です。

カウンセラーは、さまざまな心理療法で相談者の心の中に迫ります。それにより悩みから解放されて心の負担が減ったり、自己成長に向けて意欲的な行動が出てきたりするのです。

また、本人が自覚していない悩みや不安に対応するのもカウンセリングの目的です。小さな悩みが大きな悩みになる前に、心の整理を手伝ったり、小さな悩みに隠れた根深い問題を見つけたりする役割も担っています。

このように、カウンセリングを受ける目的は人によってさまざまです。カウンセリングは誰でも受けられます。多くの人が、悩みを解決させたいというよりも「気持ちを吐き出したい」「悩みをはっきりさせたい」という目的でカウンセリングを受けているのです。

カウンセリングが必要な人の特徴

カウンセリングが必要な人には、以下のような特徴があります。

  • 一人で悩みを抱えてしまう人
  • 自分に厳しく無理をしてしまう人
  • 自己肯定感が低いマイナス思考な人
  • 人間関係に悩んでいる人
  • 悩みを誰にも話せない人

こういった特徴を持っている人は、カウンセリングが必要である状況に気づいていなかったり、そもそも話しづらい悩みを抱えていたりします。ここでは、カウンセリングが必要な人の特徴とともに、なぜカウンセリングが必要なのかを掘り下げてみましょう。

一人で悩みを抱えてしまう人

一人で悩みを抱えてしまう人は、カウンセリングが必要かもしれません。一人で悩みを抱えてしまう人は、「自分の弱みをさらけ出す」ことを苦手としていることがあります。心身の不調が現れるまで、自分一人で溜め込んでしまうことも少なくないでしょう。

そういったリスクを避けるためにも、一人で悩みを抱えてしまう人はカウンセリングを受けるのがおすすめです。カウンセラーに頼ることで、問題解決の糸口を見つけられることもあるでしょう。

自分に厳しく無理をしてしまう人

自分に厳しく無理をしてしまう人は、「人に頼られると断れない」「仕事や周囲の人など自分以外のものを優先してしまう」のが特徴です。無理をすることが習慣化しているため、心身の限界を超えても頑張ってしまう傾向にあります。

そのため、悩みや不安の自覚がないという人も多くいます。自分で気づいていないストレスや悩みを把握するためにも、カウンセリングが必要といえるでしょう。

自己肯定感が低いマイナス思考な人

自己肯定感が低い人は、自分に対して自信がありません。そのため、人と比較し、ネガティブな思考に陥ってしまうのです。

こういった特徴の人が自分の存在意義や価値観を認めるためには、カウンセリングが効果的です。カウンセラーが共感的に接することで、自己肯定感を高めるきっかけになることでしょう。

関連記事:自己肯定感とは?低い人の特徴や高める方法をわかりやすく解説

人間関係に悩んでいる人

人間関係に悩んでいる人は、「同僚・友人との関係がうまくいかない」「人とどうやってコミュニケーションを取れば良いかわからない」などの悩みを抱えているのが特徴です。このような人間関係のトラブルは、心に負担がかかります。

大きなストレスで身動きが取れなくなる前に、カウンセラーに相談してみましょう。自分の気持ちや考えを整理することで、問題解決につながる可能性がります。

悩みを誰にも話せない人

悩みを誰にも相談できない人は、「話すこと自体が恥ずかしい」「他人を悪く言うことにつながるのでは」などの理由で、悩みをそのままにしてしまいがちです。不倫の経験や仕事上のミス、恋人に言えない家族の話など、話しにくいことを抱えている人もいます。

誰にも話せない悩みこそ、カウンセリングの活用がおすすめです。カウンセラーは悩みを否定することも暴露することもありません。どんな悩みであっても安心して相談できる相手といえるでしょう。

カウンセリングで得られる効果

カウンセリングを受けることで得られる効果はさまざまです。

  • 自分の状況を整理できる
  • 安心感を得られる
  • 解決の方向性が見える
  • 医療と併用することで治療効果の促進が期待できる

カウンセリングで悩みを相談することは、安心感を得ることや問題解決の方向性を明らかにすることにつながります。ここでは、カウンセリングを受けて得られる4つの効果について詳しく紹介しましょう。

自分の状況を整理できる

カウンセラーとの対話により、客観的に自分の状況を整理できます。カウンセリングを通して、自分ではわからない考えに気づけることもあるでしょう。新たな気づきは自分自身を理解し、置かれている状況を整理するのに役立ちます。状況を整理できれば、自分がどのように行動すればよいかが明確になるでしょう。

安心感を得られる

悩みを聞いてもらうと、心の負担は軽くなります。とくに、誰にも言えずに悩んでいたという人は、話すだけで気持ちがスッキリするということもあるでしょう。カウンセリングでは、話を遮られたり批判されたりすることはありません。傾聴し、共感的に接してもらえることは安心感を得ることにつながります。

また、自分自身を理解してもらうことは、自己肯定感を高める効果もあります。自信が持てるようになれば、前向きに行動できるようになるでしょう。

問題解決の方向性が見える

カウンセリングのメインは傾聴ですが、心理療法を用いることで心を深掘りすることもあります。カウンセラーは、ときには自分で自覚していない悩みや不安も引き出してくれるでしょう。

このような新たな気づきは、問題を解決するためのきっかけとなります。解決の方向性が見えれば、自分自身の力で立ち直ることも可能です。一度立ち直ったという経験は、自信につながります。同じような悩みや不安に対して、解決できる力がつくのもカウンセリングで得られる効果です。

医療と併用することで治療効果の促進が期待できる

カウンセラーと相談しながらメンタルコントロールすると、クリニックで受けている治療効果の促進が期待できます。たとえば、ジムやトレーニングをイメージしてみてください。「身体を鍛えたい」「痩せたい」と一人でジムに通っても、効果が得られないこともあるでしょう。では、パーソナルトレーニングならどうでしょうか。パーソナルトレーナーが、一人ひとりに適切なトレーニング方法や食事療法をアドバイスしてくれ、一人でトレーニングを頑張るよりも効率よく理想の身体に近づけるでしょう。

カウンセリングは、パーソナルトレーニングに似ています。一人ひとりに寄り添ってメンタルの支えとなるカウンセリングは、クリニックの治療と併用することで、より問題の解決につながりやすくなるのです。これは、悩みを抱える人にとって大きな効果があるといえるでしょう。

カウンセリングはどこで受けられる?

カウンセリングは、以下のような場所で受けられます。

相談先 相談できる内容 専門家
精神保健福祉センター

思春期課題、ひきこもり、依存症などの心の健康に関する全般

医師、保健師、看護師、公認心理師、精神保健福祉士

クリニック・病院(精神科・心療内科)

心の健康に関する悩みやそれに伴う体調不良など

医師、看護師、公認心理師、精神保健福祉士

ハローワーク 就職活動に関する悩み全般

キャリアコンサルタント、公認心理師

企業内の相談室・カウンセリングルーム

労働環境や健康不安、作業管理など 産業医、保健師、看護師、公認心理師、精神保健福祉士

心の悩み全般に関することは、厚生労働省が管轄している精神保健福祉センターや、クリニック・病院(精神科・心療内科)などがおすすめです。しかし、カウンセラーが在籍していないクリニック・病院では、カウンセリングを実施していないケースもあります。受診する際は、事前にカウンセリングの有無を確かめておきましょう。

会社に勤務している人の場合は、企業内に相談室を設けていることもあるため、こうした福利厚生を利用するのもひとつの手段です。その他就職に関する悩みは、ハローワークが活用できます。

カウンセリングの方法

カウンセリングにはさまざまな方法があります。特徴を踏まえて、自分に合ったカウンセリングを利用してみましょう。

カウンセリング方法 概要
対面カウンセリング 一般的な方法です。カウンセラーと対面し、面談を行います。
電話カウンセリング 電話で悩みを相談できます。外出せずに落ち着いた環境での相談が可能です。
オンラインカウンセリング オンライン電話やチャットなど、好きな方法でカウンセリングを受けられます。時間や場所の制約がないため、気軽に相談できるのがメリットです。

「外出するのが怖い」「人と対面したくない」という方は、オンラインカウンセリングがおすすめです。オンラインカウンセリング「こころケア」は、医療機関での臨床経験を積んだカウンセラーが複数在籍しています。保有している資格や得意分野もさまざま。「話しやすい」と感じた人を事前に自分で選べるのも大きなメリットです。

カウンセリングの料金

病院でカウンセリングを受ける場合は、保険診療か自由診療かによって負担する金額は変わります。民間でカウンセリングを受ける場合も、サービスの内容やカウンセラーの保有資格によって料金は変動します。どちらの場合も一般的には5,000~10,000円が相場です。

カウンセリングは継続的に行うことで、問題解決の糸口を見つけられる可能性が高くなります。そのため、悩みを解消するには無理なく続けられるかが重要なポイントです。カウンセリングの方法やカウンセラーとの相性だけでなく、金額面でも慎重に検討する必要があるでしょう。

カウンセリングの流れ

カウンセリングは、主に以下3つの段階で行われます。

  1.  初期(信頼関係を築く時期)
  2. 中期(内容を深める時期)
  3. 後期(問題解決に向かう時期)

初期は、信頼関係を築くことが目的です。安心して悩みを相談できる間柄になることを目指しています。

中期は、より深い内容を話し合うことで、新たな気づきを得る時期です。相談者の微妙な心の揺れを察知しながら、問題解決に向けてのサポートを行います。

後期は、相談者が自分自身の力で立ち向かえるように関わる時期です。カウンセラーとの別れに伴う不安や寂しさを払拭するのも大きな目的です。

このように3つのステップでカウンセリングを行うのが一般的な流れとなっています。

まとめ

カウンセリングの目的や効果について解説しました。一人で解決できない悩みがあるなら、心身の不調を感じる前にカウンセリングを受けることをおすすめします。カウンセリング方法はさまざまですが、オンラインカウンセリグを選択するなら、「こころケア」がおすすめです。スマホとインターネット環境があり、プライバシーが守られ安心して話せる場所であれば、どこからでもカウンセリングを受けられることもメリットです。

 

記事監修

公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • キャリアコンサルタント
  • 社会福祉士
  • 保育士
所属学会等
  • 日本認知療法・認知行動療法学会
  • 日本発達障害支援システム学会
    (第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
  • 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
  • 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  • 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  • 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
    (開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)