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気にしすぎ症候群は病気?特徴をチェック!治し方もわかりやすく解説

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「些細なことが気になって夜も眠れない」という経験はありませんか? 一般的に心配するようなことでなくても、必要以上に気にしてしまう人は、「気にしすぎ症候群」かもしれません。

今回は、気にしすぎ症候群の人の特徴や原因などを紹介します。さらに、気にしすぎ症候群を治す方法もまとめました。気にしすぎ症候群に心当たりがある人は、ぜひチェックしてみてください。内容をヒントに、気にしすぎてつらい状況から抜け出しましょう。

気にしすぎ症候群は病気?

他の人にとっては些細なことでも、ついつい気にしすぎて苦しんでしまう心理状態を、「気にしすぎ症候群」と呼びます。誰かの言葉が引っかかって眠れないほど落ち込んだり、メッセージの返信が来ないと「避けられてるのかも」と不安に駆られたりします。

「気にしすぎる=病気」ではなく、気にしすぎ症候群という病名もありません。気にしすぎてしまうのは、誰にでもあることです。しかし、あまりにも気にしすぎて考え込む時間が長いと、ネガティブな思考ばかりが頭に浮かんだり、いざというときに決断できなかったりといった問題が生じてきます。考える時間が長ければ、ストレスにもなるでしょう。気にしすぎがエスカレートし、次のような症状に苦しんでいる場合は注意が必要です。

  • 不安や緊張を感じる状態が続いている
  • 日常生活に支障が出ている
  • 家の施錠や電気の消し忘れなどを過剰に確認してしまう
  • 外出が怖い
  • 集中力が低下してミスが起こりやすい
  • 人前に出ると激しく緊張してしまう など

このような症状に当てはまる人は、単なる気にしすぎ症候群ではなく、何らかの心の病気にかかっているかもしれません。日常生活がままならず、生きにくさを感じているようであれば、医療機関などを受診することが必要でしょう。

気にしすぎ症候群の特徴をチェック

では、気にしすぎ症候群になりやすい人の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。気にしすぎ症候群の原因と対処法を知る前に、以下のような特徴についてチェックしておきましょう。

  • 自分に厳しく完璧主義
  • 自分に自信がなくマイナス思考
  • 感受性が強い
  • 嫌われることが怖い
  • 一人で抱え込みやすい

自分に厳しく完璧主義

真面目で自分に厳しく、完璧主義の人は気にしすぎ症候群になりやすい傾向があります。完璧主義であると、物事を白か黒かで考える癖があるためです。ほんの少しの失敗でも「黒」と捉えてしまい、妥協できないのです。

そのため、他の人は見逃すような小さなことでさえ気になり、ストレスや不安を抱えてしまいます。

自分に自信がなくマイナス思考

自分に自信が持てず、物事をマイナスで捉えてしまう人は、他人の言動や態度に悩みがちです。「自分がどう思われているか」と評価が気になるだけでなく、褒められてもマイナス思考が働いて「本当にそう思っている?」と疑ってしまい、気にしすぎる状況をなかなか打破できません。

さらに、何か問題が起これば自分の責任のように感じ、余計にマイナスな気持ちに囚われる悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。

感受性が強い

周囲の環境の変化や人の気持ちを感じ取りやすいと、通常の範囲を超えて気にしすぎている可能性があります。というのも、感受性が強い分、些細なことに気づきやすく、つい考え込んでしまうのです。

たとえば、実際に悪口を言われたわけではないのに、相手の表情や雰囲気から「良く思われていないのかも」と感じ取り、気に病んでしまいます。感受性が強い人は、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とも呼ばれ、最近では「繊細がゆえに生きづらい人」と認識されているようです。

関連記事:HSPとは?4つの特徴や診断方法・生きづらさを軽減するためのポイントを解説

嫌われることが怖い

嫌われることを恐れているのも、気にしすぎ症候群になる人の特徴のひとつです。「嫌われたくない」という気持ちが強いと、感受性が強い人と同様に相手の些細な変化を見逃せません。少しでも何か引っかかれば、気にしすぎて考え込んでしまうのです。人から嫌われないために自分の本音を隠そうとすると、心労やストレスにもつながるでしょう。

一人で抱え込みやすい

悩みや問題を一人で抱え込みやすい人も、気にしすぎ症候群になりやすいです。一人で抱え込みやすい人は、助けを求めればスムーズに解決する問題でも、「迷惑をかけたくない」「人に頼るのが申し訳ないから」と誰にも相談できません。そうなると、なかなか問題解決に結びつかず、ネガティブな思考ばかりが膨らんでしまいます。

気にしすぎ症候群の原因

では、なぜ他の人よりも気にしすぎてしまうのか、その原因を紐解いていきましょう。気にしすぎ症候群の原因には、次の4つが考えられます。

  • もともとの気質
  • 自分がおかれている環境
  • 考え方の癖
  • 気持ちの切り替えが不得意

その人が持って生まれた気質が影響し、気にしすぎる状況を生み出している可能性があります。先ほど紹介した、HSPも気質のひとつに該当します。HSPを例に見てみると、もともとの感受性の強さや繊細さが原因となり、必要以上に気にしすぎてしまうのです。

家庭内での教育や学校や社会での人間関係など自分がおかれている環境も、気にしすぎ症候群の一因となります。「親に人と比べられることが多かった」という経験を持っていると自己肯定感が下がり、「自分はダメな人間だ」とマイナス思考が定着してしまいます。「不注意を先生に厳しく叱られたことがとても怖かった」とトラウマになっている場合、自分の些細な行動を気にしすぎてしまうのです。このように、気質や環境が引き金となり、考え方の癖へと変化。固定観念を覆せず、気にしすぎ症候群の原因になっていきます。

また、気持ちがうまく切り替えられない人も、気にしすぎ症候群になりかねません。たとえば、仕事でミスをしたとしましょう。しばらく落ち込んでしまうのは誰にでもありますが、いつまでも気持ちが切り替えられずネガティブな感情を引きずっていると、日常生活に支障が出てきてしまいます。

気にしすぎ症候群の治し方

気にしすぎ症候群を改善するには、次の方法を試してみてください。

  • 自分をよく知る
  • 完璧を求めない
  • 考える時間を制限する
  • 周囲からの自分に対する評価を受け入れる
  • カウンセリングを受ける

気にしすぎ症候群の改善は、まず自分自身の理解からはじめましょう。自分にどのような傾向があるのか分析し、受け入れることで、少しずつ考え方を変えていきます。とはいえ、急に考え方の癖を変えるのは簡単ではありません。焦らず、じっくり進めてください。

では、気にしすぎ症候群の具体的な対処法をお伝えします。

自分をよく知る

気にしすぎ症候群の改善の第一歩は、自分をよく知ることです。どんなときに気にしすぎてしまうのか、自分はどう感じているのかなどを整理しましょう。

自分自身を理解するには、考えを紙に書き出す方法がおすすめです。紙に書き出すと、自分の考えが視覚化され、「何が気になるのか」「自分で解決できる問題か」などを客観的に判断しやすくなります。

紙に書き出したら、内容を再考します。「これは考えても自分で解決できない」「それほど気にすることではない」という悩みは、手放してしまいましょう。気にするべきことの優先順位がわかれば、余計な心配がなくなります。

完璧を求めない

気にしすぎ症候群を治すには、完璧を求めないことが重要です。何事も「きちんとやろう」と意識するのは悪くありませんが、完璧を求めすぎると小さなミスが気になって頭から離れません。

完璧を求めなすぎないために、「大丈夫」「まあいいか」を口癖にしてみてはいかがでしょう。言葉にすれば自分への言い聞かせとなり、気持ちの切り替えにつながります。

失敗を恐れて行動に移せないのであれば、深く考える前にアクションを起こすのもおすすめです。「なんてことなかった」「少し失敗したけれど大丈夫だった」という体験の積み重ねが自信となり、気にしすぎ症候群から抜け出すきっかけになるでしょう。

考える時間を制限する

ついつい考え込んでしまう時間を、あえて制限する方法も有効です。「今、気にしすぎているな」と感じたら、考える時間をいつまでにするか決めましょう。「会社に到着するまで」「10分だけ」と制限を設けてください。スマホのタイマー機能を使って、アラームを鳴らすのも良いでしょう。

時間になったらポジティブなことを考えたり、運動したりと、できるだけ気になっていたことを考えないようにします。強制的に考える時間に制限をつくれば、気にしすぎて負のループにはまるのを防げます。

周囲からの自分に対する評価を受け入れる

周囲からどのような評価をされても、一旦受け入れてみましょう。とはいえ、気にしすぎ症候群の人はマイナスの評価を恐れる傾向があるため、初めは難しいかもしれません。

そこで、周囲から評価を受けたら割り切って「そうだったんだ」と受け入れてみます。ただ、目に見える結果だけを捉えるのではなく、評価にいたるまでの努力や応援してくれた人を思い出してみてください。「以前より改善できた」「支えてくれる人が多かったから人間関係がうまくいっている」といった自己評価が出てくるはずです。周囲からの評価を受け入れつつも、自己評価に着眼点をシフトしていけば、気にしすぎる状況を回避できるでしょう。

カウンセリングを受ける

気にしすぎ症候群の人は、一人で抱え込みやすい特徴があるとお伝えしました。いろいろ試してみても気にしすぎ症候群が改善しないようであれば、カウンセリングを受けましょう。自分でどうにかしようと、抱え込むのは良くありません。専門家のカウンセリングを受けることで、一人で抱え込む状況が打破できます。自分に合った対処法も見つかるでしょう。

気にしすぎ症候群のカウンセリングには、オンラインカンセリングの「こころケア」がおすすめです。「こころケア」は、全国どこからでも利用でき、クリニックに足を運ぶ必要がありません。「些細なことが気になりすぎてつらい」という方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

気にしすぎ症候群は、病気ではありません。しかし、気にしすぎるとネガティブな思考ばかりが頭を駆け巡り、多くの時間を費やして考え込んでしまいます。今回紹介した特徴や原因をチェックして、気にしすぎ症候群に該当するようであれば、改善に向けて対処法を試してみましょう。

カウンセリグが必要な際は、「こころケア」のご利用をご検討ください。「病気ではなさそうだけれど相談していいのかな」と気にすることはありません。「こころケア」のカウンセリングで気にしすぎ症候群を軽快させ、心配に囚われない毎日を手に入れませんか。

 

記事監修

公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • キャリアコンサルタント
  • 社会福祉士
  • 保育士
所属学会等
  • 日本認知療法・認知行動療法学会
  • 日本発達障害支援システム学会
    (第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
  • 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
  • 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  • 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  • 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
    (開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)