コラム

一人になりたい心理状態とは?疲れた・何もしたくないと感じるときの対処法を紹介

メンタルヘルス

疲れて何もしたくないとき、ふと「一人になりたい」と感じたことはありませんか?それは、きっと体や心が疲れている証拠。無理をせず、ゆっくり休むことが必要です。

今回は、そのような場合に試してほしい対処法を紹介しましょう。一人になれるおすすめの場所や、気持ちの切り替え方をまとめてみました。まさに今「一人になりたい」と感じている方は、ぜひ落ち着ける場所で読んでみてください。

一人になりたい心理状態とは?

そもそも「一人になりたい」というのは、どのような心理状態のことをいうのでしょうか。例として、下記のような状態のことが挙げられます。

  • 人間関係に悩んでいる

  • 気を遣いたくない

  • ストレスがたまっている

  • 何をしても楽しくない

心理学用語では、人との関わりを避けたくなる状態のことを「親和回避欲求」と呼んでいます。それぞれの心理状態について、ひとつずつ見ていきましょう。

人間関係に悩んでいる

仕事やプライベートにかかわらず、人間関係に悩む人は多くいます。なぜなら、まったく人と関わりを持たない生活は現実的ではなく、誰もが人との関わりの中で自分の価値を見出したり、目標を達成できたりするものだから。そのため職場の上司や同僚、家族ともうまく付き合っていく必要があり、うまくいかないとストレスを感じることになります。

一人になりたいときは、人間関係がうまくいっていないサイン。誰かと会うことで「これ以上関係がこじれるかもしれない」という不安もあるかもしれません。

気を遣いたくない

「周りの人に気を遣うのが面倒…」と感じるときは、一人になりたいタイミング。特に、普段から気を遣うことの多い性格だと、人と関わるたびに必要以上に負担を抱えることになり、「人と会いたくない」という心理状態に陥りやすくなります。

ストレスがたまっている

一人になりたいときは、何かが原因となってストレスがたまっている状態かもしれません。ここ最近、仕事や育児など心身ともに負担がかかる状態が続いている可能性もあります。特に、産後間もない女性の場合、小さい子どもと1日中一緒にいることも多く、慣れない育児が影響していることもあるでしょう。

何をしても楽しくない

一人になりたいときは、好きだったはずの趣味をしたいと思わない、しても楽しくないと感じることが多いかも。これは、心身が疲れているサイン。誰かと会うのも億劫になり、今までできていたことが面倒でたまらなくなることもあるでしょう。その結果、疲れやすくなったり、何もしたくなくなったり、さまざまなことに消極的になりやすくなります。

一人になりたいと思うようになる原因

「一人になりたい」と思う原因は人それぞれ。具体例を挙げるとすれば、以下のようなものがあります。

  • 心身ともに疲れている

  • 大きなショックを受けた

  • 自分と向き合う時間が持てない

  • うつ病など心の病が隠れていることも

原因を取り去れば解決することもありますが、心の病の場合には病院の受診が必要です。

心身ともに疲れている

人間関係がうまくいかない、仕事や家事が忙しすぎるといった状況から精神的、肉体的に疲れがたまると、「一人になりたい」という心理状態に陥りやすくなります。

特に、主婦(主夫)の場合は、毎日同じ作業の繰り返しで、家族以外との関わりが少ないことから、気分転換がうまくいかないことも。そのうえ、「家事も育児も完璧にこなさないと!」という意識だと、余計に疲弊しやすくなるでしょう。このような環境は「一人になりたい」という思考の原因になりやすいようです。

大きなショックを受けた

大切な家族や友人を亡くした、仕事や人間関係で大きな失敗をした、金銭面で大きな損をしたなど、精神的に大きなショックを受けると「一人になりたい」と感じやすくなります。

人は突然、ショッキングな出来事が起こると、気持ちのコントロールが難しくなることも多いようです。ショックを受けて取り乱している自分を誰にも見られたくない、という気持ちもあるかもしれません。

自分と向き合う時間が持てない

多忙な状況が続くと、目の前のタスクをこなすことで精いっぱいになります。そのような状況だと、自分の趣味に没頭する時間はもちろん、ゆっくりと休息をとる時間すら確保できないかもしれません。自分の状況や気持ちを客観視し、頭の中を整理する時間が足りなくなると、人は疲弊しやすくなります。

うつ病など心の病が隠れていることも

「一人になりたい」と感じるようになったら、その原因に心の病が潜んでいる可能性もあります。具体的には、うつ病や自律神経失調症、社交不安障害など。他人との関わりを拒絶したくなるというのは、これらの精神疾患の初期症状にも当てはまります。

最近まで平気だったのに、急に「一人になりたい」と思うようになった場合には、心の病が原因である可能性が高いです。心当たりのある方は、早めに心療内科を受診することをおすすめします。

一人になりたいときの伝え方

一人になれる環境を作るためには、周囲の理解も必要です。そのためには、以下のポイントを踏まえて、上手に伝えるようにしましょう。    

  • 体調不良を理由に周囲と距離を置く

  • ひとりになりたいタイミングを前もって伝えておく

伝え方次第では、周囲との人間関係が悪化することもあるので、注意しましょう。

体調不良を理由に周囲と距離を置く

「一人になりたい」と伝えるときは、体調不良を理由にすると角がたたず、理解してもらいやすくなります。周囲の人も、体調が悪いと訴える人に対して、詳しい理由を詮索してくることはあまりないでしょう。あれこれ聞かれずに済むのは、気持ちも楽になります。

一人になりたいタイミングを前もって伝えておく

急に「一人になりたい」と伝えられると、周囲の人は混乱してしまいます。家族や同僚に迷惑をかけないためにも、前もって一人になりたいタイミングを伝えておくようにしましょう。たとえば「仕事からの帰宅後は、少しぼーっとしていたい」「昼食後は趣味の読書をしたい」など。その方が、お互いの気持ちを汲み取りやすくなり、余計な気を遣わなくて済みます。

一人になりたいときにおすすめの場所

一人になりたいときには、次のような場所に行ってみるとよいでしょう。

  • 公園

  • 温泉

  • 海や山など景色のきれいな場所

  • 一人でドライブ

  • カラオケ

それぞれ、おすすめの過ごし方を紹介します。

公園

自然に囲まれた静かな公園は、一人でリラックスしたいときにぴったり。なかでも広い公園だと他人の存在を気にすることなく、一人の時間を過ごすことができます。公園に着いたら落ち着ける場所を探し、何も考えずにぼーっとしてみましょう。目を閉じて頭を空っぽにすれば、風の音や鳥のさえずりが聞こえてきて、自然とリフレッシュできるはずです。

温泉

一人になりたいときに、日常を忘れることのできる一人旅はおすすめの過ごし方です。日帰りでもいいので温泉に浸かってゆったりと過ごせば、ふさぎ込んだ気持ちも少しはリフレッシュできるかもしれません。温泉に入った後は、景色を眺めながら美味しい料理を楽しむのもよいでしょう。

海や山など、景色のきれいな場所

海や山に出かけ、普段はなかなか見られないような絶景を眺めるのもおすすめです。雄大な自然に触れることで、小さな悩みがどうでもよくなる、ということもあるかもしれません。

一人でドライブ

車の中は、誰の目も気にせず一人になれる場所です。好きな音楽をかけながら、あてもなく車を走らせれば、モヤモヤした気分もすっきりと解消できるでしょう。普段行かないような場所に行くのも、いい気分転換になるかもしれません。

カラオケ

カラオケボックスなら、少々大声を出しても大丈夫です。思いっきり歌ってストレスを発散させましょう。歌うときに腹式呼吸を意識すれば副交感神経が優位になることで、リラックスできる効果もあります。

何もしたくない・一人になりたいと感じるときの対処法

何もしたくない、一人になりたいと感じるときには、以下の対処法をぜひ試してみてください。

  • 美味しいものを食べる

  • 十分な睡眠をとる

  • 散歩などで身体を動かす

  • ゆっくりお風呂に入る

  • 趣味を楽しむ時間を作る

  • 好きな音楽や香りでリラックスする

  • カウンセリングで相談する

基本的には、心身を休ませ、自分が今一番したいことをすることが大切。それぞれ解説しましょう。

美味しいものを食べる

今、一番食べたいものをお腹がいっぱいになるほど食べてみてください。特に、甘いものには脳をリラックスさせ、疲労回復の効果もあるので、おすすめです。ただし、暴飲暴食はいわゆる「ストレス太り」の原因になることもあります。習慣化しないように気をつけましょう。

十分な睡眠をとる

睡眠には、疲労回復とストレス解消の効果が期待できます。睡眠時間は少なくとも5~6時間は確保しないと脳が休まりません。睡眠不足が続けば、精神疾患になる確率が高まるという話もあります。できるだけ早寝早起きを心がけ、質の良い睡眠を習慣化するとよいでしょう。

質のいい睡眠をとるためには、下記のポイントを意識してみてください。

  • 就寝の1時間前にはお風呂に入る

  • 寝る前のスマホやテレビ視聴を控える

  • 起床後1時間以内に日光を浴びる

  • 快適に寝られる環境を整える

これらを意識して、充実した快眠タイムを過ごしましょう。

散歩などで身体を動かす

運動で汗をかくことはストレス発散になるだけでなく、自律神経を整える効果もあります。普段、運動をしない人は散歩などの軽い運動でも構いません。家の周りを歩くだけでも、貴重な一人時間になるでしょう。

時間のあるときは、公園などの広い場所で運動するのもおすすめ。パーソナルスペースも確保でき、精神的な負担も軽減されます。

ゆっくりお風呂に入る

ゆっくりお風呂に浸かると、気持ちが安らぐだけでなく、自律神経を整えることもできます。お湯の温度は、38~40℃くらいのぬるめがおすすめ。20分くらいの時間をかけて、のんびり浸かりましょう。入浴後は血行がよくなり、リンパの滞りも改善されて、体の疲れが癒された気分になれるはず。

趣味を楽しむ時間を作る

忙しさに追われて優先度が下がりやすくなりますが、自分の趣味を楽しむ時間は心の健康を保つために必要不可欠です。料理や読書、スポーツにハンドメイド、自分が楽しめるものなら何でもOK。邪魔の入らない環境を整え、好きなことに没頭する時間を作ってみましょう。

好きな音楽や香りでリラックスする

自宅でのんびり過ごすときには、ぜひヒーリングミュージックをかけてみましょう。アップテンポの曲は気分を高めたいときに、スローテンポの曲はリラックスしたいときにおすすめです。音楽とあわせて、好きなお香や芳香剤で香りを楽しむのも、リラックス効果をより高めてくれるでしょう。

カウンセリングで相談する

ここまで紹介した方法を試しても改善されないときは、一人で解決できないほどストレスや疲れを抱え込んでいる可能性が高いです。そのようなときは、早めに専門家に相談してみるとよいでしょう。

忙しくてクリニックに通えない、気持ちがふさぎ込んで家から出たくないという場合には、オンラインカウンセリングという選択肢もあります。

  • スマホとインターネット環境があり、プライバシーが守られ安心して話せる場所であれば、どこからでも相談できる

  • 心療内科などの受診に抵抗がある方も利用しやすい

オンラインカウンセリングのメリットには、こういった点があります。クリニックに出向くことなく、「まずは相談してみたい」という気軽な気持ちで利用可能です。

気になる方は、こちらのオンラインカウンセリング「こころケア」をぜひチェックしてみてください。医療機関での臨床経験のあるカウンセラーが在籍していますので、一人ひとりに丁寧に寄り添い、専門家ならではの心理的サポートを受けられます。

まとめ

「一人になりたい」という気持ちは、誰もが抱きやすい、身近な心理状態です。ただ、放置するとますます気持ちがふさぎ込み、自力では解決できないほど精神的負担が大きくなってしまうこともあるでしょう。心身ともに疲れていると感じたら、一人になれる時間を意識してつくり、しっかりと休息をとることが大切。自分の気持ちに蓋をせず、向き合うことが大切です。悩んだときにはオンラインカウンセリングなどのサービスもぜひ検討してみてください。

 

記事監修

公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • キャリアコンサルタント
  • 社会福祉士
  • 保育士
所属学会等
  • 日本認知療法・認知行動療法学会
  • 日本発達障害支援システム学会
    (第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
  • 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
  • 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  • 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  • 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
    (開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)