コラム

アダルトチルドレンとは発達障害?診断やカウンセリング治療を解説

親子

「アダルトチルドレンってどんな特徴があるの?」

「アダルトチルドレンは障害なの?」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

アダルトチルドレンとは病気や障害ではなく、子どものころからの生きづらさを抱えた状態です。

今回は、アダルトチルドレンの特徴や改善方法を紹介します。生きづらさを改善したい方は、参考にしてみてください。

アダルトチルドレンとは

アダルトチルドレンとは、子どもの頃に家族から受けたトラウマに起因して、成人後もその影響で生きづらさを抱えた状態を指します。医学的に認められる病気ではなく、原因や特徴、症状も人によってさまざまです。

もともと、アルコール依存症の親がいる家庭で育った成人を指すものでしたが、現在ではさまざまな要因が含まれています。

アダルトチルドレンの特徴・症状

アダルトチルドレンの特徴や症状は、人によってさまざまです。主な特徴は、以下のとおりです。

  • 自己肯定感が低い

  • 他人に依存しやすい

  • 承認欲求が強い

  • 自己表現が不得手

  • うつ病などを誘発しやすい

自尊心の低さから他人に依存しやすく、うつ病などになりやすい傾向にあります。以降で特徴を具体的に説明します。

自己肯定感が低い

自己肯定感とは、ありのままの自分を受けとめ、自分の弱いところも含めて自分を肯定する感覚のことです。自己肯定感が低いと物事に対する意欲が低くなり、ネガティブ思考になる傾向にあります。

関連記事:自己肯定感とは?低い人の特徴や高める方法をわかりやすく解説

他人に依存しやすい

他人に依存しやすい人には、以下のような特徴が挙げられます。

  • 友達が多い

  • メールやSNSの回数が多い

  • 物事を自分で決めることが苦手

他人への依存が強くなりすぎると、対人関係が悪化するおそれがあります。

承認欲求が強い

承認欲求とは他人から認められたいと思う気持ちのことで、「褒められたい」「必要とされたい」という欲求です。承認欲求が強い人には、以下のような特徴がみられます。

  • 自分と他人とを比較する

  • 自分自身にコンプレックスを持っている

  • 自分についての話が多い

自己肯定感が低く、自分に自信がない人ほど、承認欲求が強くなる場合があります。

関連記事:承認欲求とは?強い人の特徴や原因、過度な欲求の緩和方法を解説

自己表現が不得意

自己表現が不得手な人は、自分の気持ちや本音が上手く伝えられない傾向にあります。以下のような特徴が考えられます。

  • 人からの評価を気にしやすい

  • 失敗を恐れる

  • 自分に自信がない

自己表現が不得手だと気持ちが適切に伝わらず、誤解をされてしまい、関係性に影響を与える可能性があります。

うつ病などを誘発しやすい

アダルトチルドレンの方は、家庭や学校、職場で精神的なストレスが溜まることで、うつ病をはじめとした精神疾患を発症しやすいことが特徴です。

思い当たる症状がある場合には、早期に心療内科・精神科の受診を検討しましょう。

アダルトチルドレンになる主な原因

アダルトチルドレンの原因としては、主に以下の要因が挙げられます。

  • 機能不全家族の中で育った

  • 虐待・ネグレクトを受けてきた

  • アルコール依存症の親がいる

  • 毒親に育てられてきた

  • 不適切な養育を受けてきた

さまざまな原因がありますが、大半が親との関係や養育環境だと考えられます。

機能不全家族の中で育った

機能不全家族とは、日常的にストレスがある家族のことです。普通の家族に見えても、過干渉や共依存、子どもを褒めないなどが特徴です。

機能不全家族の中で育った人は、自分の役割を演じる傾向にあります。自己表現が上手くできないまま成長し、生きづらさを感じやすくなります。

虐待・ネグレクトを受けてきた

虐待は、殴る、蹴る、罵声を浴びせる、性的虐待など、身体的なものから心理的なものを指します。また、学校に行かせなかったり、必要な医療を受けさせなかったりすることは、ネグレクトに該当します。

虐待やネグレクトを受けてきた子どもは、親の顔色をうかがいながら振る舞う傾向があります。他人との人間関係が築きづらくなったり、生きづらさが残ったまま大人になったりする場合があります。

アルコール依存症の親がいる

アルコール依存症とは、飲酒がもたらす病気の一つで「飲酒の量がコントロールできない」「健康や日常生活に支障が出ても飲酒をやめられない」状態をいいます。

アルコール依存症の親のもとで育つことは、子どもの心身に甚大な影響を及ぼしてしまうでしょう。

毒親に育てられてきた

毒親とは、「毒になる親」を略した言葉で、子どもにとって悪影響を及ぼす親を指します。

親からの過干渉や過保護から、嫌といえなかったり承認欲求が強くなったりするため、毒親に育てられた子どもはアダルトチルドレンになりやすいといわれています。また、毒親のもとで育った子どもは、自分を褒められなかったり、自分に自信がなかったりする傾向があります。

関連記事:毒親とは?原因や特徴、子どもに与える影響、毒親に対する対処法を解説

不適切な養育を受けてきた

不適切な養育には、子どもの特性を理解せずに叱ったり、抑圧的な態度を取ったりすることが挙げられます。虐待に発展し、子どもの身体や心に悪影響を与える可能性があります。

適切な人間関係を築くことが苦手になったり、自己肯定感が低くなってしまったりすることが考えられます。

アダルトチルドレンの主なタイプ

アダルトチルドレンのタイプとして、次のような7つに分類する考え方もあります。

以下のように、タイプ別の特徴をご紹介します。共通しているのは、自尊心の低さがみられることです。

ヒーロー(英雄)

ヒーロー(英雄)は、勉強や運動など、親からの良い評価を優先とするタイプです。子どもの頃は、一生懸命でまじめにみられる傾向にあり、問題がないと評価されます。

ただし、成人して思うような結果が得られないと心が折れてしまい、自己否定の感情を抱く場合があります。

スケープゴート(いけにえ)

スケープゴート(いけにえ)は、ヒーローと反対で、徘徊や暴力などの問題行動を起こすタイプです。

子どもの頃は、勉強をやらずにテストで悪い成績を取ったりして、怒られ役の立場になることが特徴です。

成人してからは、わざと人の輪を乱す言動をしたり、自分自身に罰を与えようと自傷行為に走ったりする場合があります。

ロスト・ワン(いない子)

ロスト・ワン(いない子)とは、存在感が薄く、生まれてこなかった子どもとして家族との関係を疎遠にするような行動を取ることが特徴です。

また、人の言動に敏感に反応しすぎる傾向にあるため、成人してからは人間関係で悩む場面が増えるでしょう。

ケアテイカー(世話役)

ケアテイカー(世話役)とは、家族の世話を献身的に行うタイプを指します。子どもの頃から親の代わりに、弟や妹の面倒をみたり、家事をこなしたりすることが特徴です。

成人すると、褒められることを求めるため承認欲求が高くなったり、他人からは過干渉と捉えられたりすることがあります。

ピエロ(道化師)

ピエロ(道化師)とは、冗談や明るく楽しいことを言ったりして、家庭内の険悪なムードを和らげようとします。子どもの頃は、人の表情をうかがって、わざとふざけて明るい性格を演じるように努めます。

成人しても常に笑顔で接しようとしたりして、健康上の不調なども隠して無理してしまうことでしょう。

イネイブラー(支え役)

イネイブラーとは、自己犠牲による支え役のことです。たとえば、子どもの頃にアルコール依存症の親にお酒を用意する行動は、典型例です。

成人してからは、恋愛関係において「恋人の支え役」になりやすい傾向にあります。

プリンス・プリンセス

プリンス・プリンセスは、自分の意思を持たずに、親や相手に嫌われないように合わせることが特徴です。子どもの頃から、親の期待や好みに合わせるため、相手に合わせることが得意になります。

成人すると自分の意思が出せずに、暴言や暴力に対して断れないため、DVやモラハラなどを受けやすい傾向にあります。

アダルトチルドレンのチェック方法

アダルトチルドレンは正式な病名ではないため、診断基準はありません。しかし、「アルコール依存症の親に育てられた」という意味でのアダルトチルドレンの概念を提唱したジャネット・ウォイティッツは、アダルトチルドレンの傾向として以下のような項目を挙げています。

該当する数が多いほど、アダルトチルドレンに近いとされています。

アダルトチルドレンのチェックリスト

1 自分の考え・行動に確信が持てない
2

物事を最初から最後までやり遂げることが難しい

3 本当のことを言えば楽になるときでも嘘をついてしまう
4

自分に対しては容赦なく判断を下す

5

どんな場面でも楽しむことができない

6

どんな場面でも真面目すぎる

7

他人と親密な関係を持つことが非常に難しい

8

自分にはどうにもできない変化に過剰反応する

9 他人からの肯定・承認を常に求めている
10 自分と他人の差を常に感じている
11 責任を常にとりすぎる、もしくはとらなさすぎる
12 他人に対して過剰に忠実である
13 衝動的であり、他の行動の選択が可能なときでもそれを考えず、一つの行動に固執する

参照:一般社団法人 山梨県医師会「アダルト・チルドレンってなに?

アダルトチルドレンの症状改善には、オンラインカウンセリングもおすすめ

アダルトチルドレンの症状を改善するためには、定期的なカウンセリングが重要です。

対面式のカウンセリングでは緊張するという方でも、「こころケア」ではオンラインでカウンセリングを行っており、自宅などにいながらリラックスした状態で相談することができます。

まとめ

アダルトチルドレンとは、子どもの頃に家族から受けたトラウマなどに起因して、成人後もその影響で生きづらさを抱えた状態を指します。自己肯定感が低く、自己表現が苦手な方が多くいる傾向にありますが、カウンセリングを活用することで、生きづらさが改善されやすくなります。

「こころケア」ではアダルトチルドレンの方や、さまざまな状況の方に対してオンラインカウンセリングを行っています。自宅などのリラックスできる場所からカウンセリングが受けられるため、ぜひご活用をご検討ください。

 

【記事監修】
公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  •  公認心理師
  •  精神保健福祉士
  •  キャリアコンサルタント
  •  社会福祉士
  •  保育士
略 歴
  •  医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験豊富
  •  認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  •  第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  •  教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ